EOS R7を購入してから野鳥撮影が楽しくて仕方ありません 🙂
今回はかねてから試したかったEFレンズを1本使ってみたのでそのレポートです。
EFレンズという選択肢
以前、以下のような記事を書きました。
R7のレンズの選択で難しいのは
- R7は画素ピッチが非常に狭いため解像力のないレンズではかなり厳しい写りになる
- 逆に解像力のあるレンズではより精細に写るので焦点距離以上の性能を発揮できる
という点で、レンズ性能で撮影結果が二極化するところです。
EOS R7で野鳥撮影 長所と短所まとめEOS R7発売から2週間、そろそろR7の特徴も掴んだので2回の連載でまとめたいと思います。 第1回 EOS R7で野鳥撮影 長所と短所 第2回 EOS R7で野鳥撮影 撮影のコツ 画質 高精細、高トリミング耐性 APS-C 32...
この投稿の中ではRFレンズを中心に、EOS R7に合ったレンズを紹介したのですが、
EFレンズについてはほぼ触れていませんでした。
CanonはEFレンズでは500mmや600mmのズームレンズは発売していませんでしたので、EFレンズでの超望遠はほとんどがLの単焦点なため、紹介するまでもないというのが理由でした。
ただ、どうしても試してみたいレンズが1本だけありましたので、購入してしまいました?
EF400mm F5.6L USM
です。
野鳥撮影に使えるEFレンズ
まずは軽くEFレンズで野鳥撮影に使えるレンズから紹介します。
300mmも使えはするのですが、今回は400mm以上を。
単焦点 大砲
Canonの大砲レンズはMTFチャートを貼るまでもなく、どれも間違いはありません。
I型は少し問題があるものがありますので、II型以降ならば。
ものによってはR7では連写速度が出ないものがあるのでそこを気にする場合は注意。
ただ基本的には15コマ/秒でいいのではないかと思います。
- EF600mm F4L IS III USM
- EF500mm F4L IS II USM
- EF400mm F2.8L IS III USM
これらは、画質を気にするとかそういうレベルのレンズではないので安心して使ってください 😛
単焦点 準大砲
EFレンズにはDOレンズという、比較的コンパクトな中間のレンズが存在します。
EF400mm F4 DO IS II USM
https://faq.canon.jp/app/answers/detail/a_id/81700/#1
MTFを見てわかる通り、このレンズの解像力は非常に高いです。
I型は性能がもう一つなのと、Extender x1.4時の劣化が少し激しいので少し注意。
60万~80万円くらいするレンズですので、サブで…というのも厳しい気はしますが、
400mmで大丈夫な人にはとても良い選択肢です。
ズーム
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
https://cweb.canon.jp/ef/lineup/tele-zoom/ef100-400-f45-56l-ii-usm/spec.html
このレンズはMTFを見る限りでは、400mmでこのチャートなので、実質はRF100-500よりも若干解像力的には劣るような感じなんじゃないかと思います。
ただ、少し明るいのでお散歩には良さげですね。
ちょっとバランスがわるいので、ヌケやシャープネスは少し悪そうです。ただ、これはズームレンズ全般的な特徴。
まぁ確かにMTFは参考程度なのですが、自分の撮る被写体が奇麗に撮れるレンズの特徴を憶えておくと、どんなチャートが自分向きのレンズか何となくわかってきます(気のせいかも知れませんが概ね合致してます)。
EFレンズの傾向
私は専門家でもないので、これは使ってみた感じ…なのですが、与太話程度で。
RFレンズは撮影後デジタル画像処理前提のものが多い
RF100-500mm F4.5-F7.1L IS USM は、ズームレンズとしてはありえないほど解像力があって、良いレンズなのですが、DLO(デジタルレンズオプティマイザ)や、ボディ内もしくはDPPで撮影後のデジタル画像処理ありきで設計されている感じがします。
DPPで編集していると、段階的にフィルタが適用されていっているのか、30秒ほど待ってようやく最終出力の写真に近いプレビューになるのですが、適用前と適用後の違いがかなり激しいという特徴がみられます。
そして、写真の線が気持ち太い。
ズームなので収差はL単のより出るのは仕方ないのですが、それを何とかデジタル補正しようとしている気配が。
たまに「このシチュエーションでこれだけ綺麗に撮れてるのに、何故かこのシチュエーションでは解像度が落ちるな…」というデジタル画像処理特有の得手不得手がある感覚があります。
特にパープルフリンジなどはかなり補正されている気がするので、逆光時にかなり解像力が落ちる傾向があります。
RFレンズは、レンズ側で補正するとサイズが大きくなったり、重くなったり、コストがかかったりするところを、デジタル処理することでバランスよくつくられてるんでしょうね。
EFレンズはレンズ側で頑張って補正しているものが多い
※RF600F4Lは光学系はEF600mm F4L IS III USMと一緒ですのでEFレンズと同様の光学系です。
逆に、EFレンズはフィルムカメラ時代からのマウントですので、すべての補正を光学的にレンズ側でやる。という設計になっている感じがあります。
もちろん、それはそれでレンズ側で無理しているという事なので、一概に良いことではありません。
サイズは大きくなり、重量は重くなり、高価な材料と高度な設計が必要なはず。
ただ、ボディに入ってくる光の段階ですでに収差や歪曲などがおさえられているため、素直な写りになっている感じがあります。
後から手を加えられたような違和感が感じられないですね。
もちろん見比べてみてわかる程度なのでそこまで気にするほどのものではありませんが、私はどちらかというとEFレンズ的な写りの方が好みです。
EOS R7 + EF400mm F5.6L USM
R7に装着するとこんな感じ。
フード部分は収納式で、簡単にたためるので非常にGood。
では、本題に入ります。
EF400mm F5.6L USMの特徴
EF400mm F5.6L USMは 1993/05 発売、実に30年ほど前のレンズです。
この頃のLレンズは防塵防滴などは基準になかったので防塵防滴仕様ではないようです。
EOS 5Dでも2005/08発売なのでその10年前。フィルム時代のレンズです。
この時代はもうボディ側で補正とかはほぼなく、レンズから入ってきた光がすべて。
仕様やMTFチャートを見てみましょう。
※APS-Cはレンズの中央しか使いませんので大体X軸は13~14mmくらいまでを見てください。
【交換レンズ】EF400mm F5.6L USM 機種仕様
400mmとはいえかなりいい線行ってますね。ズームとは違って単焦点らしい安定した画質です。
間違いなく素直でヌケが良くてシャープ。
恐ろしいことに同じサイズで被写体を写せれば、RF600F4L IS USM + Extender x1.4くらいの解像力があります。
ただロクヨン+テレコンは840mmになるので、さすがに焦点距離が違いすぎますが。
これを踏まえ、EF400mm F5.6L USMは以下のような特徴を持ちます。
- 解像力が高くて安定した400mmレンズ
- 1.25kgという軽量レンズ
- AFはUSMなこともあり、高速
- レンズ側の手振れ補正なし
- 最短撮影距離 3.5m
- 最大撮影倍率 1.12倍
- 防塵防滴なし
- 2026/06で修理対応終了
簡単に言うと、「古くて手ブレ補正はないが、安くて、コンパクトで、非常に精細に撮れるレンズ」です。
USMですのでEOS R7で使っても全くAFスピードに問題は感じません。
比較的最近(2019くらい?)まで製造はされていたので、最近の中古で美品で手に入るものはそんなに昔のものではないのではないかと思います。
https://cweb.canon.jp/ef/lineup/extender/extender-ef14-iii/spec.html
ちなみに、こちらがExtender x1.4をつけたときのMTFチャート。
15mmくらい以降はAPS-Cでは関係ないので、乱れた周辺部分は見なかったことにするとして、RF100-500の500mmよりは落ちるけど、RF600mmF11やRF800mmF11とかよりは解像する感じですね。
560mmF8になるので、野鳥にはよい焦点距離ですが、今でも比較的手ブレが怖くはありますね。
手持ちは無理かな。
EOS R7で使うと何が良いのか?
望遠効果
EOS R7は、とにかくこれが凄い。
EOS R7はAPS-C 3250万画素という高精細なセンサーを積んでいるので、レンズの解像力さえ十分ならば、R7で400mmで撮ればR5で560mm程度で撮ったのと同じくらい解像します。
EOS R5と比較した場合、APS-Cクロップは1710万画素ですので、画素数で言うと約1.9倍。
大雑把に画素数が倍になると縦横1.4倍くらいの画素になりますので、x1.4くらいのサイズで被写体をとらえているのと同じような意味合いになります。
=おおむねx1.4倍テレコンをつけたのと同じくらいの解像力、しかもF値そのまま
ですのでR5で560mm F5.6のレンズつけてるのと同感覚くらいで撮れるという事ですね。
R5はフルサイズの中では解像度の高いボディですので、他のフルサイズと比べると圧倒的です。
※もちろんしっかり撮影できた場合です。精細さは高くなりますが、ブレとISO耐性的にはかなりシビアになりますし、色乗りも悪くなります。
ボディ内手ブレ補正(IBIS)
EF400mm F5.6L USMには手ブレ補正はありませんが、ボディ内の5軸IBISが適用されます。
400mmでどのくらいの効果があるか正直わかりませんが、手ブレは少し減るはず(?)です。
ただ、実際のところ野鳥は、手ブレ補正がどれだけ効いても関係なく最低でも1/200くらいで撮らないと被写体ブレします。
一般的に400mm x 1.6 (APS-C) = 640mmと考えると手ブレ補正なしで必要なSSは 1/640 くらいなので、1段でもきいてくれれば1/400くらいのシャッタースピードで問題なさそうです。
※もちろんちゃんとホールドして撮る必要はあります。
レンズのピント調整いりません
レフ機のボディの時は、ボディのAFユニットとレンズのピント調整をしないと前ピン/後ピンになってしまうような現象がありましたが、ミラーレスではそういうのは関係ありません。
なので、サードパーティのレンズだろうが古いレンズだろうがピント調整の必要なく綺麗にピントが合います。
フルでAFを使える
レフ時代はかなり明るいレンズじゃないと、クロスを使えない測距点が多かったりしましたが、EOS R7ではそういうことは一切ありません。
EF400mm F5.6 USMはとても古いレンズで、少し暗めですが、最新のレンズ顔負けにハキハキとAFが動いてくれます。
EOS R7 + EF400mm F5.6L USM 作例
以下はすべて手持ち撮影です。
ヒヨドリ(中距離)
400mmですのであまり寄ると厳しいですが、2枚目くらいのトリミングだとかなり精細に見えます。
なによりL単ぽいヌケの良さが気持ち良いですね。
パープルフリンジが少し出ています。
ISO800なので、3枚目くらいアップにするとちょっと厳しいですね。
そんなに明るい場所ではないのですが、かなりシャッキリしています。
EFレンズらしいとても素直な写りです。
スズメ
水浴び後でボサボサです。
シャドウがっつり上げたのでちょっとノイズが…。
これもヒヨドリ同様で2枚目のトリミングはとても精細です。
ISO640なので3枚目くらいまでアップにすると400mmで撮った画素数では厳しいですね。
シャドウ上げなければ綺麗なんじゃないかとは思います。
結構遠いですが、羽毛もシャッキリ解像。
いや、これ本当に30年前のレンズかよ…という感じ。
ISO100だとかなりトリミングしても問題なし。
2羽の水浴び。適度なボケ。水しぶきが綺麗ですね。
瞬膜が。
1羽の水浴び。L単は水の描写がとても綺麗です。
水に顔をつけてバシャバシャ。
ササゴイ(逆光)
EV上げて撮りましたが+3くらいでは足りませんでした 😛
あと、急いで撮ったのでSSも上げすぎでした。
落ち着いて撮ろうかとおもったら飛び去ってしまわれた…。
ただ、現像時にガッツリ補正いれてますが、しっかり見れる程度にはディテール残してますね。
ミシシッピアカミミガメ(子亀)
全体的にコントラストが高くてヌケが良いですね。
ただ、若干手ブレしてるかもしれず 😛 結構シビア。
まとめ
EOS R7 + EF400mm F5.6L USMは野鳥撮影の有力候補
- 解像力が高くて安定した400mmレンズ
- 1.25kgという軽量コンパクト
- AFはUSMなこともあり、高速
- レンズ側の手ブレ補正なし
- 防塵防滴なし
- パープルフリンジはそれなりに出る
- お値段はマップの中古で美品9~10万円
- 2026/06で修理対応終了
EF400mm F5.6L USMは、過去にレフ時代に一時期だけ所持していたことがあります。
その時はあまりにも手ブレが厳しかったのと、APS-Cの3250万画素の高解像では撮っていなかったのでマッチせず、すぐ売ってしまいました。
EOS R7の発売により、EF400mm F5.6L USMは「非常に使えるレンズ」となった気がします。
EOS R7には、欠点はたくさんあります。
EF400mm F5.6L USMも同様で、欠点がたくさんあります。
ですが、補いあってる部分があるのと、両方の欠点を理解したうえで使うことで、お散歩野鳥撮影からカワセミ撮影まで使えるかなり良い組み合わせとなります。
他社の組み合わせなどと比較
Nikonは使ったことないので予想ですが、現在ミラーレス一眼で野鳥を撮る組み合わせとしては
組み合わせ | 価格 | 特徴 |
SONY α1 + FE600F4 | 250万円 | 現状ではほぼ最強。ただ、お値段も最強。オールマイティ。 |
Canon R7 + RF600mmF4 | 180万円 | R7をしっかり理解して使えば非常にGood。最高精細。 |
Nikon Z9 + Z800mmF6.3 | 140万円 | 少し暗いですが、800mmなのでフルサイズで撮れる。高画質。 |
SONY α1 + FE200-600 | 100万円 | 少し暗いですが、比較的コンパクトでGood。ボディ側コスト高すぎ。 |
SONY α7R IV + FE200-600 | 55万円 | 動体は厳しい。比較的コンパクトでGood。 |
Canon R7 + RF100-500 | 50万円 | 少しレンズは暗い。非常にコンパクトでGood。 |
SONY α7 IV + FE200-600 | 55万円 | 比較的コンパクトでGood。精細さは少し不足。 |
Canon R7 + EF400F5.6 | 30万円 | 焦点距離は少し短い。レンズ側手ブレ補正なし。 安価、非常にコンパクトでGood。高画質。 |
こんな感じなんじゃないかと思います。
α1は動きものでもなんでもいけます。値段が凄いですが。脆い感じがするのでちょっと注意。
EOS R7の方が精細なのでR7はハマった時がすごいです。
EOS R7 + EF400F5.6は30万円で野鳥撮影を開始できますので、良いですね。
それでいてL単のヌケの良い撮影ができます。動体もイケます。
ただ、手持ち撮影はしっかりとホールドしてSS、絞り、EV、ISOなどしっかりと設定して撮る必要がありますので、少しテクニカルだと思います。
….が、趣味だしそれが楽しい気もしますね 🙂
上位の装備を使うと本当にシャッター押すだけですので面白味がないのですが、R7は撮影者のスキルに依存する割合がかなり高い気がします。
結論として、私はとても気に入ったのでRF100-500と交換してしまうつもりです。
RF100-500はメインで使うにはとても良いのですが、サブで使うにはビルドクォリティや手ブレ補正など、ここまでの性能は必要ありません。
ガチはRF600mm F4L IS USMで綺麗に撮ることを、お散歩はEF400mm F5.6L USMで撮影自体を楽しもうかと。
差額で何かアクセサリ類でも買います 🙂 レンズ沼貧乏ですので
さて、そろそろカワセミ撮影の記事でも書きたいのですが、肝心のカワセミさんはいつ飛び込んでくれるのか 😛
またお会いしましょう。