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野鳥撮影におけるRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

野鳥撮影におけるRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

野鳥撮影で数日間R5 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM を使ってみたので、
現時点での評価をまとめたいと思います。
野鳥撮影という相当特殊なジャンルでの使用ですので少し偏った評価となりますが。

また、水鳥など大き目の鳥はどんな超望遠ズームでも撮影はできますので、
ここでは被写体は「すずめ~ハトくらいまでの小鳥」に限定します。

スペック

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
画角 20°~4°・14°~2°45′・24°~5°(水平・垂直・対角線)
レンズ構成 14群20枚
絞り羽根枚数 9枚(円形絞り)
最小絞り 32(100mm時)、51(500mm時)
最短撮影距離 0.9m(100mm時)
最大撮影倍率 0.33倍(500mm時)
フィルター径 77mm
最大径×長さ φ93.8×207.6mm
手ブレ補正 レンズ側500mm時 5段分、協調ISで6段分
質量 約1,370g(三脚座含まず/三脚座質量 約160g)
テレ端 500mm F7.1
新品価格 約36.5万円(2022-06-11時点)
中古価格 約33~34万円(2022-06-11時点)

野鳥撮影のスタイルは大きく分けて2つあります。

  • 山や林を歩きながら出会った鳥を撮影するスタイル
  • 鳥がやってくる場所を把握して待ち構えて撮影するスタイル

野鳥撮影するかたは両方やる方がほとんどだと思いますが、前者では当然フットワークが、後者では画質やAF性能などが重要となります。

後者の用途では600mm、800mmなどの明るくて重い&大きい単焦点レンズの独壇場となります。

画質という面では、Canonで言うとL単とLズームの間には大きな隔たりがありますので、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM は前者のスタイルでどうなのか?を評価します。

500mm 1.37kgという軽さ

比較的レンズ評価をする場合に「綺麗に撮れるか」を優先で見てしまいがちなのですが、このレンズの最大の特徴は、「500mmという焦点距離で1.37kg」という点です。TAMRON 100-500mmが1,725gで、350gほど違いますが最近ではR10が429gですので、「ボディ約1個分軽い」となると随分軽く感じられるのではないでしょうか。

後で出てきますが、防塵防滴などビルドクォリティが高い上でのこの重量ですので他の超望遠ズームとは一線を画しているといって良いです。

「重くても高画質が良い方がいい」と考える方も多いと思いますがレンズが2kgこえると途端に山がつらくなります。600mm F4Lでも今は3kgなので「どうせ2kgこえるならロクヨン持ってくわ…」という思考になりがちですね。そういった理由でフットワーク軽く撮影という用途ではFE200-600などは少しスコープから外れてきます。

手持ち撮影で一般人が長時間振り回せるのもちょうどこの1.4kgくらいが限界かなと思いますので、重量という面ではいいところをついてきているのではないでしょうか。

500mmという焦点距離

野鳥では500mmという焦点距離は必要最低距離と考えてください。
「600mmと大差ない」と考える方がいるかと思いますが、ちょうどこの100mmが小鳥に近づける距離で羽毛を解像させることができるかどうかの境界になっていて悩ましいところです。

あと、焦点距離についてはL単とズームレンズで意味合いが変わります。
RF600mm F4Lの場合はExtender x1.4をつけてもあまり画質に劣化がないのと、それでもなお明るいので840mm F5.6とした場合でも RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMより綺麗かつF値に余裕があるんですよね。

逆にRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM に Extender x1.4 をつけると 700mm F10 となって ISO的にかなり厳しいものになります。画質は思っていたより劣化しないようですのでまたしっかり検証してみますが。

そんな中、期待されているのがゲームチェンジャーとなりえる EOS R7 です。
Extenderに頼るとどうしても画質の劣化と明度の低下を招きますので、「センサーの画素密度を高めて精細に撮る」方が有効です。

APS-C 3250万画素というのは、フルサイズでは8000万画素と同じ密度となります。
つまり、α7R IVの6100万画素よりも精細なんですね。

当然ながら1画素あたりのセンサー面積が低下しますので色乗りは悪くなりますし、レンズの収差が大きいとそれが拡大されるような形になってひどい結果になります。

しかしながら、以前90D(APS-C 3250万画素) + EF600F4L+Extender x1.4で撮影したコゲラを見るにL単では画質低下は感じられず、より精細な写真を撮ることができるのは確認しています。


Canon EOS 90D 840mm ƒ/5.6 1/250s 800 

そして、ちょうど画素数がR5のAPS-C 1700万画素 → R7のAPS-C 3250万画素に増えた場合の解像度向上は Extender x1.4 をつけたときの解像度向上とほぼ一緒です(1700万画素 x 1.4^2 = 3332万画素)。

つまり、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMがAPS-C 3250万画素のセンサーに耐えられるかが焦点となっていて、耐えられれば EOS R5で 700mm F7.1 のレンズを使うのと同じ精細さの軽量野鳥撮影装備が誕生することになります。

今現在、RFマウントでAPS-C 3250万画素撮影する方法はありませんしExtender x1.4をつけると画質が低下するためテストになりませんので、こればかりはEOS R7の発売を待つしかありません。

R7登場で一部の鳥撮りが狂喜乱舞しているのはこういった理由があるわけです。

画質

野鳥では500mmでしか使わないので望遠側の画質しかわかりませんが、精細で暗部のディテールもしっかりと残して撮影できていると思います。
ただ、小鳥を撮る場合は~10m撮影でPC、~15m撮影でスマホくらいの画質と考えた方がよいでしょう。


Canon EOS R5 500mm ƒ/7.1 1/200s 640 
※約15mくらい。スマホでは十分。


Canon EOS R5 700mm ƒ/10 1/100s 3200 
※~10mくらいExtender x1.4つき。PCでも結構精細です。

しかしながら F7.1 ということでレンズは非常に暗いです。
小鳥の撮影ではトリミング前提なこともありISO感度は~1600までには抑えたいところなのですが、少し陰になっている場所にいる被写体を撮ると一気にISO3200~6400に跳ね上がります。

暗部のディテールは比較的残ってますのでISOを1600~に上げるくらいならEV -1で撮影して後でRAW現像で露光やシャドウを上げる運用が良いのではないかと思います。

本音は500mmだとF5.6はほしいですが、重くなると本末転倒なのでここはバランスですね。

そういえば1点気になったところとして、パープルフリンジが思いのほか出ます。
現像補正できてないほどではないですが場合によっては問題になるかもしれません。


Canon EOS R5 700mm ƒ/10 1/125s 2000 
ハイライトになってる部分が紫がかってます 😛

AF性能

AFスピードは超望遠ズームレンズの中では非常に速いです。

600mmF11や800mmF11が比較レンズとしてあげられると思いますが、これらと比べるとAFスピードは段違いです。最短撮影距離から無限遠へのAFでいうと3、4倍くらい違うんじゃないでしょうか。
F11系レンズはゆっくりとまりものを撮るレンズですね。

ふだん超望遠L単を使っている人でも特に違和感なく使えると思います。

AFの精度はミラーレスではボディ側の領域で、基本的には精度が低いことはあまりありませんので割愛します。

手ブレ補正

手振れ補正は非常に強力です。
レンズ側で500mmで5段分、ボディ協調ISで6段分ですね。

ただ、RF600mm F4Lなどを使ってる方が使うと「思ったより効いてないな」と感じると思います。

おそらくですが「レンズが軽い」ことが影響していると思っていて重量レンズはそれだけで手持ち撮影のブレがかなり抑えられているのも原因のひとつかと思ってます。

それと協調ISの仕組みは詳しくありませんが、レンズ側との分担?でボディ側のISの比重が高めでファインダー像の方は揺れがちなのかもしれませんね。

私の体感ではRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMはキチっとホールドすればちゃんと止まるけど、思ったよりは揺れるという印象。ただ、撮った写真で手ブレなどは感じられないので問題はなさそうです。

Lレンズのビルドクォリティ

このレンズ、とても高価なのですが中でも多くがビルドクォリティに費やされていると思います。

山や林で撮影しているとどうしても天候の変化が激しく、木の雨しずくで意図せず水をかぶったり、枝にぶつかったりとレンズとボディに堅牢さが求められます。
RF100-400を一時期使っていてとても軽くて良かったのですが流石に防塵防滴なしでは持ち歩くのが怖いという印象でした。

その点このレンズは防塵防滴、非常に堅牢でほぼ心配はありません

特筆すべきは1.37kgという軽量でこのビルドクォリティ。
やはり撮影中に機材の心配をするのは大変ですので、このクォリティはありがたいですね。

まとめ

EOS R7が発売されて、APS-C 3250万画素に耐えられるならば、このレンズとの組み合わせは野鳥撮影のゲームチェンチャーになり得ます。

現状ではα7R IV + FE200-600が約50万円で本格的な野鳥撮影を楽しめる装備ですが、いかんせん少し重いのと大きくてお散歩で持ち歩くには少々厳しいものがあります。

EOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMで十分な画質が得られるならば、同じ価格で、小さくて2kgで本格的な野鳥撮影を楽しめる装備が誕生します。
さらに、α7R IVと比べるとAF性能が非常に高いため、暗さを気にしなければこの装備だけで飛びものも撮影可能です(R5でもすでに撮っておられる方がたくさんいます)。

ミラーレスになってAFの罠があったりまだまだ撮影装備としては途上な感覚は否めないですが、装備重量や画像認識AFなどよくなった点も多々あります。

そんな中でEOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMが野鳥撮影の草分け的なものとなるのではないかと大きく期待している次第です 🙂

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