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ミラーレスカメラのAFの罠

と、いうわけで何度か記事に書いてはいますが、ミラーレスカメラで野鳥撮影する際の罠について書きたいと思います。

私の撮影スタイル的にはかなりクリティカルで、今現在もどうしたものか悩んでいるところです。

ミラーレスカメラのAFの長所

多くのメリットがあります。

画像認識できる レフ機の位相差AFではフォーカスユニットに光をいれてやる必要があったため、シャッターを切るまではイメージセンサーには光は入ってきていませんでした。

ミラーレス機の像面位相差AFはイメージセンサーを使うため、言ってみれば「常にカメラが画像を受け取っている状態」で、その画像に対してAIなどを使って画像解析をすることができます。

高度な鳥AFや鳥瞳AFなどができるのはこのためです。

トラッキングが強い 上記の理由から、一度認識した被写体をトラッキングするのは非常に得意です。
ノイズに強い たとえば、枝などが邪魔していたとしてもその後ろにいる鳥を鳥として認識できれば、枝ではなく鳥にピントを合わせることができます。
AF範囲が広い 中央付近しかなかなか精度高くAFできなかったレフ機とは違い、CanonのデュアルセンサーCMOS AFでは、イメージセンサー全体をAFに使えるため非常に広い範囲でAFが可能です。
レンズの前後ピンOK
イメージセンサーレベルでピントを合わせますので、例えば前ピンになってしまってるレンズでも問題なく合焦します。
レンズが暗くてもOK もうピント合わせはイメージセンサーの処理となったので、像さえ取り込める程度の光があれば精度やスピードはともかくAFを使えます。F22までOKとのこと。

ミラーレスカメラのAFの短所

1点だけクリティカルな問題があり、これのために野鳥撮影が非常に困難なものになっています..。

手前にピントが合わない 初めてミラーレス機を野鳥撮影に使った人は故障かと思ってしまうと思います。
そのくらいヤバい短所です。レフ機は「手前のものにピントが合いやすいAF」でしたので、例えば林の中で手前に枝があった場合には手前の枝にピントが合っていました。

これは手前の枝に鳥がとまった場合も同様で、奥の木々よりも手前の鳥に瞬時にピントが合います。これはとても自然な動きのように思います。

ですが、ミラーレス機は「奥のものにピントが合いやすいAF」で、手前の枝に鳥がとまっても奥の木にピントが合ってしまうことがよくあります。
その状態から鳥にピントを合わせたい場合は、MFでせっせと鳥のあたりまでピントを合わせ、そこからAFなりする必要があります。
※しかもしっかり合わせてないとAF-ONにした瞬間に奥の木の方に再度ピントが持っていかれて初めからやり直しになることも多々あります。

最も手前にピントを持ってきてそこからAFしても鳥は素通りして奥の木に合うことがほとんどですのでちょっとお手上げです..。

ここでは奥の林の木と手前の枝という例を挙げましたが、実際のところ奥と手前が1m程度の距離しかない場合でも同じ問題が起きます。

初動が少し遅い α1になってようやく1DX2と遜色ないくらいまでスピードが出ているように思いますが、フラグシップ機以外はまだまだ1発目のピント合わせが遅いです。

ここはR7に期待したいですが、R3の時にはAFのスピードがかなり宣伝されていたのが、R7では特に触れられていなかったのでこの部分はあまり引き継がれていない可能性があります..。

ただ、これは今後解決される問題と思われます。

手前にピントが合わない問題への対策

いろいろ考えて試行しているのですが、あまり良い結果には至っていません。

フォーカスプリセット レンズのフォーカスプリセットにいくつかの距離のピントをセットしておいて、うまくピントが合わないときは無理やり被写体に近い位置にピントを持ってくる….というものですが正直あまり良い結果は出ていません。

同様に最も手前にピントをもってきてそこから再びAFを始めたらうまくいくかもと思ったのですが、手前の鳥は素通りして奥の木にピントが合います。

レンズのF値を上げる つまるところ、手前の被写体がボケすぎてピントをあわせる被写体として認識されていないのが原因のような感じがあるので、じゃあ絞ってできるだけクッキリにしようというものですが…これもそもそもF値を上げておくというのもアレですし、結果も芳しくありません。

ただ、奥と手前の距離が短い場合には比較的有効な感じでした。

とはいえ、じゃあ撮影するときにまたFを戻すのかとかあるので実用としては無理です。

露出SimulationをOFF

これは、画像認識の面では有効なようですが、手前にピントが合わない問題の解決にはなりませんでした。

サーチ駆動OFF

せめて、「ピントが奥に合った」→「仕方ないのでMFで近くまで」→「AF-ONしたらまた奥に合った」→「仕方ないので….」…は避けたいので試してみましたが、これはサーチ駆動しなくなると平時がつらすぎる(何にもピントが合ってないときに全くAFが動かない)ので却下

鳥瞳AF-ON

カスタム設定で鳥瞳AFをONにできますのでこれで無理やり再走査させる。
これは比較的有効で、そもそも鳥が認識できなような状態ですのでサーチ駆動的な動作をして鳥を探そうとしてくれます。

ただ、それで鳥に合ってくれる可能性はせいぜい20%程度くらいなイメージです..。

照準器を使う&MF
もうこれはどうしようもない妥協策なのですが、「確実にファインダー内に被写体がいる状態」を作り、AFでピントが合わなかったらたとえ鳥の姿がみえなくてもMFでそのままある程度合わせてAFするという方法です。

ピントリングを回せばどこかで必ず被写体が像を結びますので比較的素早くピントを合わせることができます。

残念ながら今のところこれが最も効果があります。

ただ、カワセミ撮影とかではなく平時でも照準器を装備せねばならず、また手持ちだと同じ状態を維持したままピントリングをまわしてMFするのは相当厳しいので、実質3脚や1脚と併用になります。

これにフォーカスプリセットと組み合わせて一番近い状態のピントに即座に移動し、そこから遠くへピントを合わせていくと必ず途中で鳥が現れますので次はそのような形で試行する予定です..。

総評

人によって野鳥撮影のスタイルがあると思いますが、大き目の鳥であったり比較的おとなしい鳥を撮るときは鳥瞳AFがとても便利で、トラッキングも1度掴めばほぼイメージセンサー全体範囲で追いかけてくれるので非常にミラーレスカメラは快適です。

ですが、「素早い小鳥」や「警戒心の強い鳥」を撮影する場合には見つけた野鳥に即座にピントを合わせるのは至難の業歩留まりは最悪です。

特に大砲レンズは近くに突然飛んできた鳥に構えると、鳥がビビッて逃げてしまうことが多いので本当に1秒~2秒くらいが勝負になります。

15m~20mぐらいの距離でもピント合わせにもたついていると鳥が移動してしまう可能性が非常に高く、何よりピントが合ってないのでその状態でファインダーを覗くと鳥を見失ってしまうため、あれ?あこにいたよな?とか繰り返しているうちに残念な結果になってしまいます。

具体例として、前に20m~30mくらいのところにピントを合わせて撮影。その後、10m~15mくらいの枝に鳥がとまったので撮影しようとしたら全くAFがきかない。ファインダーで鳥の姿も見えないのでまた肉眼で鳥を見て「あれ?やっぱりあこにいるよな…」と思ってまた…とやってるうちに気づいたら鳥がいなくなってます。

EOS 1DX2で撮ってた時はそれこそ鳥発見から撮影まで1秒~2秒くらいでこなしていたのですが、EOS R5になってから5~6秒、下手したら10秒くらいかかっています。

どうやら像面位相差AFの特徴らしく、ボケの大きな状態のものにピントを合わせるのが苦手ということですが、いまこれが死活問題で非常に困っています…。

ただα1の時は確かに似たようなことは起こってはいたのですが、そこまで「これ厳しい」とは思わなかったので、ボディの味付け次第なのかもしれません。

R3は触ったことがないのでAFがどのようになったのかは把握できていませんが、EOS R3のAFシステムのサブセット的なEOS R7でもやはり同じ症状が起きた場合、EOS 7D2から移ってきた方々が阿鼻叫喚になるんじゃないかと今から不安に感じています。

「いろいろミラーレスのAFすげぇといわれていますが、野鳥撮影では根本的なところで大きな問題を抱えている」

というのは
理解したうえで今後に期待してミラーレスに移行しましょう…。

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