はい、EF800mm F5.6L IS USMとEF600mm F4L IS II USMのどちらを残すのか決めましたので、まぁ似たようなシチュエーションで迷ってる人の役に立てれば..と詳細を投稿しておきます(いないでしょうけど)。
EF800mm F5.6L IS USM
結果としてはこれまでの検証の通り、EF800mm F5.6L IS USMを残すことにしました。
最後でちょっと揺れましたがEF600mm F4L IS II USMはドナドナです 🙂
「両方残しておけよ。」ってのはモットモなのですが、EF600mm F4L IS II USM は EOS Rシリーズで使ってみてEF800mm F5.6L IS USMの代替となれるかどうか?の検証で購入したのもあって、用途が完全にかぶるんですよね。
撮影機材について縮小…というわけではなく、最近FSB8 mkIIを購入したように他の部分にお金をかけたいですね。
散策用にEF500mm F4L IS II USMは気になるんですが…私の性格上、山でもEF800mm F5.6L IS USMを持って行って手持ちで撮ってそうです 😛
次買うとしたら照準器ですかね..?
EF600mm F4L IS II USMとEF800mm F5.6L IS USM 性能比較
基本スペック
EF600mm F4L IS II USM | EF800mm F5.6L IS USM | |
焦点距離 | 600mm | 800mm |
開放F値 | F4 | F5.6 |
最大径 | 168mm | 163mm |
最短撮影距離 | 4.5m | 6m |
最大撮影倍率 | 0.15 | 0.14 |
重量 | 3.92kg | 4.5kg |
発売日 | 2012年5月 | 2008年5月 |
修理対応期限 | 2025年7月 | 2029年2月 |
EOS R3以降連写対応 | 最高連写速度対応 | 最高連写速度非対応 |
はい、こうやって比べるとEF600mm F4L IS II USMの方がどう見ても優勢です。
ただ、この中ではどうしてもEF600mm F4L IS II USMで覆すことのできない点が2つあります。
1つはやはりExtenderなしの焦点距離。比べてみてExtenderなしの800mmはやはり強力でした。
EF600mm F4L IS II USM +Extender x1.4では
- EOS R7で使うと少し画質が低下するのが気になる
- EOS-1D X mark IIIでも使うので周辺画質がかなり落ちるのが気になる
- Extenderによる単純なAFスピードの低下が気になる
というのが問題でした。
もう1点、ロクヨンII型は修理対応期限が後2年(2025/02)なんですよね…それ以降は壊れたら終了になる可能性があります。
100万円近くするものですので、それ以降も使うのは度胸が必要ですね。
EF800mm F5.6L IS USMも古いレンズですが、2029/02までは修理自体はしてもらえるんですよね。
逆にこの中でハチゴローが残念な点はEOS R3以降のRシリーズで最高連写速度が出ない事。
20コマ/秒くらいは出るのですが…この点だけがハチゴローで覆しようのない残念な点ですね。
野鳥撮影では600mmはExtender x1.4をつけて840mmとして使うことが非常に多いため、F値や重量などは実は大した問題じゃなかったりします(Extenderで0.23kgくらいあるのでほぼ誤差になってくる)。
最短撮影距離にしても、実際のところ4.5mまで野鳥に近づけるというのはかなり稀ですのでそこまで考慮しなくて良いです。
あと、6m付近まで近づければEOS R7パワーでハチゴローなら解像力的には全く問題ありません。
個別スペック
MTFチャート、AFスピード
MTFチャートに関しては何度も貼ってますが改めて。
EF600mm F4L IS II USM | EF800mm F5.6L IS USM |
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EF600mm F4L IS II USM のExtender耐性は本当に凄いですね。
Extender x1.4を装着して840mmとした場合の800mmレンジ帯以外ではハチゴローよりも良いチャートになってます。
つまりハチゴローは800mmくらいのレンジで撮る場合のみ画質でロクヨンII型を凌駕しているという事になります。
私がこれまで10年ほど野鳥を撮ってきてロクヨン+Extenderで撮る機会が非常に多かったため、この800mmレンジで最も高性能というのがハチゴローを使う決め手となっています。
「ロクヨンの方が画質が良い」という話をよく聞きますが、それはExtender x1.4をつけずに「近くで撮れる場合」ですね。
あとはF4ですのでISO的に有利という点はあります。
ただF値についてはカワセミやヤマセミなどはEV-2やEV-3で撮ることが多いので、実際のところEOS-1D X mark IIIくらい強烈なISO耐性があればF5.6でもさほど問題にならないというのが最近の傾向です。
逆にEOS R7のように画素ピッチの狭いセンサーでカワセミなどの動体を撮るならばロクヨンの方が最適だと思います。
普通の小鳥のとまりものの場合は600mmでは足りないことが多いのでハチゴローの方が有利ですね。
ハチゴローは小鳥もカワセミやヤマセミのような動体も、1本のレンズでボディを付け替えて撮るという前提では最良と思ってます。
あと、ロクヨン+Extender x1.4は背景のボケが凄まじくうるさいという特徴があります。
これと同理由なのか背景のボケがジラついて被写体にピントが全くあわない現象が発生することがあります。
滅多に発生しませんが発生すると、その時に撮った写真はほぼ全滅です 😛 何度かありました
レンズ構成
まぁ、レンズ構成はあまり気にしない方なのですが、MTFチャートにも結果が表れているようなので。
EF800mm F5.6L IS USMのレンズ構成は蛍石レンズ、スーパーUDレンズ、UDレンズをふんだんに使っていて今ではちょっとありえないような構成になっています。
EF600mm F4L IS II USMも2枚大きな蛍石レンズを使っていて非常に良いのですが、更に素材に糸目をつけていない感じです。
EF500mm F4L IS II USMもですが、CanonはこのII型あたりの時期が画質的に最も良かったように思います。
RF800mm F5.6L IS USMは3.14kgという軽量化がなされていますが、RF400mm F2.8L IS USMに2倍の拡大光学系が入っている形になっていて、残念ながらMTFチャートを見る限りでは解像力はかなり低下しています。
フルサイズだとあまり気にならなそうですが、EOS R7のような強烈な画素ピッチのセンサーでは結構わかるんじゃないかな?
EF800mm F5.6L IS USMは「マスターレンズ800mmとしてはCanon最後のレンズ」なのかなと思ってます。
もちろん、RF800mm F5.6L IS USMは3.14kg、最短撮影距離が2.6mという狂ったような性能のレンズですので山などに持っていく800mmとしてはとても良いので、いつか欲しいですがちょっと高すぎですね。
余談ですが、私はカワセミ撮影ではフルサイズ+800mm 距離20mくらいが被写体の大きさ的に丁度良いのでEOS R1 + RF800mm F5.6L IS USMは最高なんじゃないかと思っているので、いつかEF800mm F5.6L IS USMに寿命がきたら考えます。
AFスピード
MTFには表れませんがExtenderは暗くなって画質も低下する以外に、AFスピードが低下するという問題もあります。
III型はそのあたりを考慮していてあまりスピードが落ちないような事を聞きますが、逆に解像力がかなり落ちるので厄介です。
AFのスピードには
- 単純に指定距離にピントを合わせるスピード
- サーボAF中に小刻みにピントを合わせるスピード
があると思っていて、もう完全に前者はレンズのAFモーターの性能で、後者はボディとマウントを介しての通信速度や応答速度、モーターの反応速度なんかが影響すると思っています。
これはなかなか測りづらいので体感なのですが、Extender x1.4ありのロクヨンより、Extenderなしのハチゴローの方が前者の単純なAFスピード自体は速いように感じています。
後者についてはおそらくEOS Rシリーズの高速連写速度にも影響してるものだと思うのですが、Extender x1.4をつけていたとしてもロクヨンII型の方が速いように感じます。
まぁ大事なのは、EOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USMでカワセミを撮影した場合のAFスピードに不満がないという点ですね。
EOS-1D X mark IIIでのAFエリア
ロクヨン | ハチゴロー | |
EOS-1D X AFエリア |
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EOS Rシリーズは、AFエリアについては気にする必要はほぼありません。
F値が高かろうと、ほぼセンサー全体どこでも測距できますし、範囲もフレキシブルゾーン対応ならば設定できます。
EOS-1D X mark IIIなど、一眼レフカメラでは概ねロクヨンII型よりもEF800mm F5.6L IS USMの方が狭い感じですね。
ただ、上の図だけ見ると「かなり狭い」と感じますが、上の図ってフレーム全体でみると以下のような感じです。
フルサイズの場合、上下左右に相当余白があるんですよね。APS-Cならばフレーム一杯がAFエリアになるイメージです。
なので、実際のところ191点が139点だろうがほぼ変わりません。
少し違うのは600mmをExtenderなしでF4として使った場合は中央ブロック以外もクロスになる点。
ただ、現状は600mmでは撮らないのでそこまで意味はなかったり。
で、以前書いたのですが実はロクヨンの方のAFエリアは広いのはありがたいのですが、私のスキルでカワセミを撮影していると「カワセミ以外にピントが持っていかれる」ことが多くありました。
広い分だけAFエリア内に「面」を作りやすく、端の方でも被写体を認識してしまうのが逆に扱いづらく感じました。
上の図にある青いエリアがハチゴローのAFエリアですが、楕円形で程よいんですよね。
青いエリアの場合、AFエリアのどこでとらえても概ね意図した被写体にピントが合います。
解像力
私が最終的に欲しい解像度はこのくらいで、これはRAW現像でシャープネスもそんなにかけてません。
APS-C 3250万画素 800mmで10mくらい、ルリビタキくらい人懐っこいとこのくらいの距離は現実的ですね。
ロクヨンで撮ればもうちょっと立体感がでるかもしれませんが、私は立体感よりはシャッキリ感ですかね。
この距離ではロクヨンは少し解像感は落ちますが、かなりお腹の部分とかはボケて立体感が出るはずです。
許容できる解像度としてはこのくらい。これはAPS-C 3250万画素 800mmで30mくらいでしょうか。
10m~30mというのは野鳥撮影ではかなり現実的な距離で、特に30mでこのくらい撮れると撮影はかなり楽になります。
この距離はもう小鳥がこちらの方を気にしない距離ですので、自然な表情で撮れる距離でもあります。
ベニマシコくらいの珍鳥だとあまりチャンスを逃したくないので、遠くで三脚を立ててひたすら待ってました 😛
小鳥でEOS R7で30mくらいになると、ロクヨンII型+Extender x1.4だと「あれ?」という事が多い印象ありますね。
まとめ
はい、というわけで色々と書きましたが、これまでの検証通りEF800mm F5.6L IS USMを使っていくことに決めました。
800mmというレンジは私が野鳥撮影で最も頻繁に撮影する距離で、そのレンジ用に作られたマスターレンズであることが最も大きな理由です。
どうしてもExtenderをつけると中央部ですら少し解像力は劣りますし、周辺部はガタガタになるのと、AFもちょっと遅い感じしますね。
つい先日ヤマセミを撮ってきましたが、やはり画質的にもAF的にも物凄い安心感がありました 🙂
やはり最後の一眼レフのEOS-1D X mark IIIとの相性が最高すぎますね。
EOS-1D X mark IIIで撮ってると「いつでも飛び込んでいいよ」という心の余裕が 😛
とまりものではEOS R7の超高解像なセンサーと瞳AFやトラッキングなどが凄まじい力を発揮しますね。
よほど障害物の多い場所に飛び込まない限り、ヤマセミならばまず撮り逃さない気がしますw
さて、これでボディ、レンズ、雲台、三脚といった主要装備はFIXなのであとは撮りまくりたいですね。
細かいところでは、照準器が少し気になってるのと、雲台のパン棒をもう少し短くしたいという気がしています。
目下おおきなイベントはゴールデンウィークですね。
久しぶりに舳倉島に行きたい気はするのですが、戸隠神社とその周辺をまわるのも良いなと思ってます。
お天気の良いゴールデンウィークでありますように 😛