前回に引き続き、カワセミ撮影のコツです。
まだまだ中級者には到達できていないので「中級者への道」としてます 🙂
撮影のヒントにしていただければ。
撮影を続けていくうちに変わってきた事
まだまだ初心者ではあるんですが、撮影を粘り強く続けていくうちに以下のような変化がみられるように。
飛び出し時に慌てなくなった
※以前はホバリングへの対応がうまくできませんでしたが、落ち着いて対処できるように
カワセミを撮り始めてまだ数か月ですが、飛び出し時に慌てなくなってきました。
初めの頃は飛び出した瞬間に心が乱れる…というか「!」って感じがあってスムーズにレンズを振れなかった気がします。
なんとなくですがカワセミ撮影は「飛んだ!」と思ってしまったらもう負けなところがあって、カワセミが飛び出して着水してシャッターをきったくらいで「よし!」って思えると初心者の域を抜けてきたと思える気がします。
「飛んだ!」っていう所に意識を割かずに、視線や手元操作でカワセミを追いかける方に意識を集中する感じです。
これによって、カワセミが飛び出してからレンズを振るまでの動作がかなりスムーズというか単純に速くなりました。
飛び込み地点を予測できるようになった
※~12mくらいの距離でも被写体をとらえられるようになってきた
やはり素早く着水点にレンズを振るには予測が大事です。
以前は肉眼でカワセミがよく見えなくて飛び込み予測が難しかったのですが、慣れてきて顔の模様などから嘴の向きを判断できるようになって、比較的遠くでも飛び込み地点の予測ができるようになってきました。
これによって、着水点にレンズを振るまでの時間がかなり短くなりました。
飛び出しの瞬間がわかるようになった
※以前は飛び出しの瞬間はどうしても出遅れることが多かった
これはまだファインダーで覗かないと私には無理ですが、飛び出しの瞬間がわかるようになりました。
飛び込もうとしている時の挙動と、飛び出す瞬間の動作が感じられるように。
ある程度お腹がいっぱいだとあまりキョロキョロもしないのと、もちろん水面を頻繁に覗きもしません。
フンしたりペリットを吐いたらその後は飛び込み可能性が高くて、ソワソワしてるような感じ。
飛び出し直前は少しお腹を引っ込めて力んで、ちょっとかがみますね。
これももう少し頑張れば肉眼でも反応できるようになりそうですので、そうなれば更に余裕ができるはず..。
両眼視もどきができるようになった
両眼視…というのは変ですけど片目で照準器、片目でカワセミを見ることでカワセミが飛び出しても、視線を移さずにそのまま照準器で追えるようになりました。
ファインダーと照準器の両眼視…は大砲だと厳しいので今のところはこのやり方で撮ってます。
これができるようになるまでは、飛び出しまではカワセミの方に視線を向けていて、飛び出したら視線を照準器の方に切り替える…という感じでしたが、スムーズに追いかけられるようになりました。
ただ、近距離で高低差があるとかなり厳しいですが 😛
フレームの中央にとらえられるようになってきた
※トリミングはしていますが、これは着水時点からずっと中央でとらえることができてます
カワセミを真面目に撮り始めた数か月ほど前は、お世辞にもカワセミをフレームにとらえることができていませんでした。
フレーム内のどこかに、何とかカワセミをとらえられてる…くらいです。
今では、着水時に大体は中央付近でレンズを止めて連写できている気がします。
これはやり方は人それぞれだと思いますが、私の場合はGITZOのジンバル雲台を使っていますので大砲レンズを使っていてもかなり素早くレンズを振れる反面、ピタっと止めづらいという問題があります。
逆に以前使っていたビデオ雲台の場合は右手でパン棒、左手でレリーズでピタっと止められていたのですが振りがちょっと遅かった感覚ですので、これはどっちもどっちですね。
私の場合は撮影距離が近いことが多いので、レンズを振るスピード重視で
最終的に右手でボディ、左手で雲台のパン棒を握って両手でレンズを振って止めています。
まだできない事
視差を考慮する
※浮上は何とか収まっているものの、かなりカワセミがフレームの上に位置していて羽は切れてしまっています
手前に飛んだ場合、奥に飛んだ場合の視差を考慮することがまだできていません。
多くの場合はカワセミは手前に飛んでくるので、照準器的には少し上を撮れば良いのはわかっていつつ…どうしても刹那の時間ではぴったり中央にとらえてしまって上にはみ出がちです。
意識するようにはしてるんですが、まだそこまで余裕をもって撮ってるわけではないのでなかなか難しいですね。
カワセミ全体をフレームに収める
※相当な近距離で残念ながら一番欲しかった2コマ目は切れてしまっています
カワセミをフレーム一杯に撮る場合、着水点をフレームの中央にいれてしまうとどうしても本体がフレームから上にはみ出してしまいます。
着水時は中央でとらえるのが良いのですが、水柱がたったくらいで着水点を少しフレームの下に配置できると綺麗におさまるものの、視差の加減はかなりアナログで難しいですね。
まぁ…実際のところ、これを完全に防ぐにはファインダーを覗いて撮影をするしかないと思ってますが、おそらく本来は中央にとらえても全体がフレーム内に収まるくらいのサイズ感で撮る…というのが正しいんだと思います。
浮上後、飛び去りを追いかける
※着水地点に近いショットは比較的ピントは合っていますが、その後追従できていないので甘くなりがちです
※この連続写真は思ったよりあってましたが気にせず。
どちらかというと、着水~浮上~飛び去りの前半くらいまでをターゲットにしてるせいで、どうしてもその後を追いかけることができていません。
意識してはいるんですが、着水点で連写するところまでで安心して途切れてしまいます。
もう少し余裕が出てきたら自然と解消していくとは思いますが、いつもカワセミが飛び去ってから「あ。」って感じで思い出します。
本体に的確にピントを合わせる
※水柱の方にピントが合ってしまっている
これは…どうにかできるのか微妙なのですが、どうしても水柱の方にピントが行ってしまいます。
ミラーレスで動物検出をするか、ファインダーで中央1点とかでピンポイントに本体に合わせるかしかない気がするのですが、なかなか難しいですね。
近距離での撮影の場合、どうしても被写界深度が薄いので本体にピントを合わせないとボケた写真になってしまいます。
最近はどちらかというと、水柱ができるだけ手前に来ないようにポジショニングするのが大事かなと思ってます。
ただ…それはそれで写真に味がなくなるので難しいところです。
上達のために大事な事
撮影機会を増やす
※この記事を書くにあたり見直していましたが、結構な枚数撮ったなぁ..と思います。
実際のところ、上達するにはとにかく撮影を多くこなすしかありません。
私はこの4ヶ月ほどでなんだかんだと300回以上は飛び込みの撮影をしている気がします。
現役勤労者では結構いいペースじゃないかと思いつつ。
やはり回数をこなすと体がおぼえてきますし、試行錯誤のサイクルがまるで違います。
前にも書きましたが、まずはロケハンして撮影機会を確保するのが重要と思います。
週1回の飛び込み撮影…とかでは、なかなか上達は難しい気がしますね。
秋~春先くらいまでで固めて撮るのがねらい目。
とにかく調査して知識を増やす
※EOS-1D X mark II + EF800mm F5.6L IS USMのAF特性を理解してうまく撮ることができた
インターネット全盛の時代ですので、いろんなところにカワセミの撮影方法や撮影動画などが転がっています。
それらを見て、取捨はしますが、とにかく知識を入れることが大事です。
慣れてくるとネットの写真や動画でちゃんと撮れてる写真かどうかは、なんとなく判断できるようになってきます。
私の場合は遠距離から撮る…というよりは解像度重視で撮っていますので、ものすごい精細さで撮影されている写真をみかけると、そのサイトに何かヒントがないかを掘ったりしています。
どんな装備を使ってるのか、どんなふうに撮ってるかのコメントだけでも随分参考になりますね 🙂
試行錯誤を止めない
※数多くの失敗から考察して撮り方を試行錯誤する
カワセミ撮影って、野鳥撮影の中ではかなり難易度の高い撮影だと思っています。
もちろん、カワセミと違って飛び込みタイミングを予測しづらいツバメや他の鳥の飛び込みなどを撮るのは難しいのですが、彼らは魚をとるというわけでもないので、あまり積極的に撮ろう…という感じの被写体でもないですしね。
人の限界…というわけではないのですが、かなり練習しないと撮れない程度にはシビアだと思いますので、自分の肉体的な限界や金銭的な限界などを見極めて撮影毎に試行錯誤をしていくのが大事かなと思います。
たぶん、もっと若くて動体視力や肉体的に優れている方は、装備にお金をかけなくても歩留まりは良さそうです。
私はどちらかというとじっくりと身に着けていく方ですが、一度身に着けると忘れない感じで進めてます 🙂
撮影の注意点
装備を環境や撮りたい写真に合わせる
野鳥撮影は7割~8割くらいは装備で決まると思ってます。
ですので、カワセミを撮るならカワセミを撮れる装備、さらに解像度を求めるならそれ相応の装備が必要です。
合わない装備で時間をかけて練習するのはもったいないので、まずは装備をしっかり吟味することをオススメします。
上級者になると解像度以外についてはどの装備でも撮れるようになる予感はありますが、初めから上級者な人はいませんしね 🙂
ボディ
ボディについては、やはり最優先なのはAF性能です。
「野鳥撮影向き」のボディはほとんどの場合はとまりもの撮影での話ですので、カワセミの飛び込みの場合はどちらかというと「スポーツ撮影向き」のボディの方が撮りやすいです。
ただ、スポーツ撮影は被写体が人間なこともあって解像力よりもISO耐性やブレ耐性を重視しているものが多いため、解像力を求める場合はその点で注意が必要です。
正直、今のCanonではあまり高解像度のカワセミ撮影に適したボディは見当たりません。
- フルサイズ4000~5000万画素(APS-C 2000万画素程度)
- 高速なAF
- 連写30コマ/秒くらい
という性能がおそらく適していて、他社ではSONY α1、Nikon Z9あたりが該当しているものの、CanonのR3では少し画素数が足りない感じです。
そのせいで、ミラーレスになってからCanon機でのカワセミ撮影者は激減している気がします。
今後発売されるであろうEOS R1もしくはEOS R5 mark IIあたりがおそらく上記の性能に合致していて、かつR1は他社の性能をぶっちぎってくれると期待はしていますが、もしR1が期待外れだとカワセミ撮影でCanon使う人はいなくなりそうです 😛
とまりものに関しては私の感覚ではEOS R7が他社ボディ含めても現時点では最高だと思ってますが、現状では解像力は足りないものの、カワセミ撮影ではEOS R3、EOS-1D X mark IIIあたりを使っておくのとストレスはありません(EOS R3は使ってないので想像…)。
熟練者になればEOS R7で歩留まり良く撮れる気がしていますので修行中ですが、まだまだ厳しいですね。
ボディに関しては初心者こそ高性能なものを使うべきかなと思います。
レンズ
カワセミ撮影において、レンズはボディと比べるとそこまでシビアではないように思います。
とまりものだと焦点距離が長くて解像度が高いものが圧倒的に有利なのですが。
レンズのAF性能がボディのAF性能に追従できること、あとは必要な解像力や明るさを満たしていれば良いと思います。
おそらくですが…解像度や明るさ的に大丈夫ならRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMやEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMで問題ないように思います。
私の場合は求めている解像度がEOS-1D X mark IIIだと焦点距離800mmは欲しいというのがあってEF800mm F5.6L IS USMを使っていますが、多分R1ではロクヨンで問題ないと思ってます。むしろR1のセンサー次第ではゴーヨンで十分になるかも…くらいですね。
Canonの場合はEOS R7の「最高連写速度対応レンズ」にあるレンズならばAFスピードは問題ないと思いますが、それ以外でも白い単焦点レンズならばレフ機のEOS-1D X mark IIIで使えば問題なさそう..という感覚はあります。
(EF800mm F5.6L IS USMはEOS Rシリーズでの最高連写速度対応レンズではありませんが、EOS-1D X mark IIIでは16コマ/秒でAFも高速で安定してます)
Extenderはあまりお勧めはしません。
Extenderをつけた場合のAFスピード低下はとまりものを撮っている分にはあまり気にならないのですが、カワセミ撮影などのシビアな撮影ではかなり顕著に表れます。
また、AFスピードだけではなく瞬時のピント精度もいまいちな感覚があります。
雲台
私の場合はGITZOのジンバル雲台を使っています。
フルード機構で通常のジンバル雲台とくらべると、大砲レンズを素早く振ってもある程度は止まってくれます。
重さがビデオ雲台と比べると軽いため、とまりものでもこれをつかっています。
ビデオ雲台を一時期使っていたころは振りは少し重い感じがしましたが、止めやすかったのでこれは好みで。
雲台はザハトラーのFSB8 mkIIあたりを使うと随分違うという話はよく聞きますね。
本当にカワセミしか撮らないならそちらの方が良いのかなという感じはしますが、ちょっと高い&重いなぁ… 😛
撮影の難易度を考慮する
初めのうちはカワセミを撮れる場所をそんなに知らないと思うので、難易度の高い場所で頑張ってしまいがちな気がします。
まずはロケハンをしっかりやって難易度の低い場所から始めても良いのかなと思います。
撮影距離
※25m~くらいならば私でもEOS R7で十分撮影できます
撮影の難易度は、撮影距離で大きく変わります。
基本的に遠い方が難易度は低くなりますが、解像度は低下しますのでそこはバランスですね。
また、距離が近いと被写界深度が浅いためピントが非常にシビアになります。
初めのうちは 撮れる事 >> 解像度 だと思いますので20~30mくらいで練習できると良いように思います。
当然「このくらいの解像感で撮れるなら25m~で撮ればいいのでは?」となるのですが、
- 撮影距離を稼ごうと思うと、どうしてもAPS-CになってISO耐性的に明るい時しか撮れない
- 25m~のポイントと~15mのポイントがあると、どうしても~15mで綺麗に撮る方を選んでしまう
というのがあって、私の場合は撮影機会と綺麗に撮りたいという欲求から近距離で撮る方を選んでしまいますね 😛
ただこの点は今後EOS R1やR5 mark IIが発売されれば事情が変わりそうですので期待です。
とまり木の高さ
※35mくらいで6~7mのとまり木からのダイブをEOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMで手持ち撮影
※とまり木は非常に高く、EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMでもこのくらいの解像感でした
とまり木の高さについては、低すぎると安定しないものの、高すぎると逆に難易度が上がります。
というのも、低いと着水までの時間が短く、高いと着水までの時間が長くなるのですが、高すぎると視界に照準とカワセミの両方を入れるのが難しく、レンズを振る角度が大きくなり、かつ飛び込み中に軌道が変わることが多いので難しくなります。
私の感覚的には難易度が低いものから
- 距離が遠くてとまり木が高い
- 距離が遠くてとまり木が低い
- 距離が近くてとまり木が低い
- 距離が近くてとまり木が高い
だと思っています。
その他
※完全に中央でとらえているにも関わらず、背景の岩にピントを持っていかれています
- 障害物
- 水面の写りこみ
- 飛び込み先の角度
その他でこのあたりは気にしたほうが良いように思います。
障害物が多いとAFがそれらを掴んでしまうのと、障害物の後ろに飛び込んだりすることがあって難易度が上がります。
また少なくとも、とまり木に止まっているときのカワセミを目視できないと、かなり難易度が上がります。
水面については特にミラーレスは水面の像を掴んでしまうことが多いので、池などで鏡のような水面では苦労します。
特にミラーレスではハッキリしたものにピントが持っていかれやすくて厳しく感じています。
飛び込み先の角度は…大体の場合カワセミは飛び込んで元の枝の方に戻ってきますので、環境によっては常に手前に飛んできて奥に飛び去る場合があるので撮影的に厳しいかもしれません。
その場合は、常に水しぶきが手前にきてそれにピントをとられるのと、カメラのAFは前後調整に弱いので難易度が高くなるのと、背中しか撮れないという状況になりがちです。
他にも留意点はありますが、ロケハンする時には特にこれらに注意するようになりました 🙂
ここ数か月で綺麗に撮れたショット紹介
なんとなく、このショットが勢いがあって好きです 🙂
解像度的にいまいちなのもありますが、まぁ…始めたころに比べると結構撮れて来てる気はします。
継続は力ですね 🙂
まとめ
秋~冬はカワセミが安定してやってきて何度も飛び込んでくれる季節ですので、今年は一念発起して頑張ってみました。
初期の頃と比べると、スキルも向上してきてますし、撮り方も随分かわってきてます。
ちょっとは納得のいく撮影ができるようになってきたかな?という感覚はありますが、まだまだサイトや動画でみてると凄いの撮る人が沢山いるので頑張ってスキルを磨いていきたいですね 🙂
最終的にはEOS R7+EF600mm F4L IS II USMで安定して撮れれば良いな、と思って試行錯誤中です。
では、引き続き中級者に向けて頑張っていきます。
35mm換算800mmで距離~15mで安定してフレーム中央にとらえられるようになれば中級者かな…という勝手な想定ですが 😛