EOS R7発売から約二か月が経過して、概ね設定も変わらなくなってきたので、そろそろ現在の設定を紹介したいと思います。
コンセプト
で紹介した通り、EOS R7は決してオールマイティなカメラではありません。
- メカシャッター時の振動による微ブレ
- 電子シャッターのローリングシャッターの歪み
- 連写バッファの小ささ
- 画素ピッチが狭いことによるISO耐性の低さ
- AF演算周期がトラッキングでは少し遅い
- 電子先幕とメカシャッターはシャッター音がかなり大きい
これらをカメラマン側がしっかりと理解して撮影せねばなりません。
そのため、私は
- とまりもの撮影 (飛翔などは大きな鳥はこっちで撮ることあり)
- 飛びもの撮影 (カワセミ飛び込みなど高速なガチの飛びもの)
をカスタム設定でわけることで、シチュエーションによってC1/C2を切り替えるだけで、上の問題に対応できる事を設定コンセプトとしています。
とまりもの撮影 シャッタースピード ~1/1000くらい
方針
「ブレ対策と超低速シャッター対策で電子シャッターを使う」
低速シャッター時はメカシャッターで微ブレが起きやすいので、電子シャッターか電子先幕を選択することになります。
また、EOS R7はISO耐性が低いので、ISOを稼ぐためにSSがかなり低くなってしまうことが頻繁にあります。
SSが低いと被写体ブレが起きてかなり厳しいのですが、30コマ/秒で連写すると多くの失敗の中から数枚ブレていないものがあることが多いので、力業のできる電子シャッターの方を使用しています。
また飛びものはそんなにシャッター音は気にならないのですが、とまりものは静かな森の中で撮影することが多いため、静音面でも電子シャッターを使っています。
カワセミの飛び込みほど素早い動きのものを撮るわけではないので、トラッキングはONにしています。
撮影
注目項目 | 内容 |
1. 記録画質★ | C-RAW。RAWとの画質の違いがほとんどない割に1/2くらいの容量(35.1MB → 17.9MB)になるので、SD容量だけじゃなく連写可能枚数にも影響する。
30コマ/秒で3秒程度、15コマ/秒なら12秒ほどもつようになります。 キヤノン:製品マニュアル|EOS R7|主な仕様 CaptureOneもC-RAWには対応しています 🙂 |
2. ISO感度に関する設定 | とまりものでは、私の感覚ではISO 1600までですので、最大をISO 1600にしています(800にすることもあります)。
これより高いとどうせ証拠写真的にしか使わないので、暗所でSSがかなり低速になった場合には、30コマ連写で低い確率でブレていないショットが撮れる事の方に賭けています。 |
2.オートライティングオプティマイザ | 基本的にはRAW現像時に処理すれば良いのでOFF。 いらない処理時間は食わないように。 |
4. ホワイトバランス | AWB-W ホワイト優先、これは好みで。RAW現像で気に入らなければ変更できます。 |
7. ドライブモード★ | Hi+、電子シャッターなので30コマ/秒。 15コマ/秒にしていることもありますが、ISO感度を最大1600までにしているので30コマ/秒で奇跡に賭けることの方が多いです。 |
7. シャッター方式★ | 電子シャッター。
|
9. 表示Simulation | とまりもの時はかなり暗所で頑張ることもあるので、見た目でどのくらいEVがマイナスに行ってしまっているか確認するためにもONにしています。
2022/10/03追記 |
AF
注目項目 | 内容 |
1. AF動作★ | R7のAF性能を使うにはSERVO固定です。 |
1. AFエリア | AFエリアはカスタムボタン設定でAFエリアのダイレクト切り換えをできるようにしていて、被写体やシチュエーションによって必要なAFエリアを高速に切り替えています。 |
1. 被写体追尾(トラッキング)★ | とまりもの設定ではONにしています。 とまりものでは、AF追従の遅れよりもトラッキングできる事の方が有効なためです。小鳥などでは特に重宝します。 |
1. 検出する被写体★ | 動物優先 |
1. 瞳検出★ | する R5の時とは違ってするにしたからと言ってマイナスはない感じです。 |
1. 追尾する被写体の乗り移り | 1 する/しないといったような極端な設定はとまりものでは必要ない感覚です。 |
2. サーボAF特性★ | 2 森の中で撮ることが多いので。正直、トラッキングONだとそこまで中の詳細は関係ない気もしています。今後このあたりは詰めていきます。 |
3. プリAF | しない これやると何も押してなくても突然AFし始めるのでOFF。 |
飛びもの シャッタースピード1/2000~1/8000
方針
「ローリングシャッターの歪み対策とブレ対策のため電子先幕を使う」
飛びものはローリングシャッターの歪み対策のため、メカシャッターか電子先幕を使います。
飛びものでボケとかはそんな気にしないので、ちょっとでも振動を抑えるために電子先幕の方を使うことが多いです。
若干、トラッキングがカワセミの飛び込みに追い付いていない気配があるので、トラッキングはOFFにしています。
撮影
注目項目 | 内容 |
1. 記録画質★ | C-RAWならば12秒ほどもつので十分です。 RAWでは15コマ/秒でも4秒程度しかもたないので必須設定。 https://cam.start.canon/ja/C005/manual/html/UG-10_Reference_0100.html |
2. 露出補正★ |
EV -1 ほとんどの場合でISOとの戦いになるのでEVは初めから-1です。 |
2. ISO感度に関する設定 | EOS R7はISO3200を超えると急激に画質が低下するため、上限は3200にしています。 |
2.オートライティングオプティマイザ | OFF とまりものと同じ |
4. ホワイトバランス | AWB-W とまりものと同じ |
7. ドライブモード★ | Hi+、電子先幕なので15コマ/秒。 |
7. シャッター方式★ | 電子先幕 どちらでも良いですが、メカシャッターは音が大きすぎるのと振動が凄いので電子先幕を使うことが多いです。 |
9. 表示Simulation | OFF。 明らかにCPU処理食ってる気配があるので。 あと飛び込みで急に明るさ変わることは稀なため、たまに絞りボタン押して確認しています。 |
AF
注目項目 | 内容 |
1. AF動作★ | SERVO とまりものと同じ |
1. AFエリア | とまりものと同じ |
1. 被写体追尾(トラッキング)★ | OFF 今のところ、カワセミの飛び込みにトラッキングでAFが追い付いていない気配があったため。 トラッキングなしならば確実にピントがあっているので、トラッキングONはまた追って再検証します。 |
1. 検出する被写体★ | 動物優先 とまりものと同じ |
1. 瞳検出★ | する とまりものと同じ |
1. 追尾する被写体の乗り移り | トラッキングOFFなので関係なし |
2. サーボAF特性★ | 2 今のところは詳細に設定しなくても2のデフォルトで特に問題なし |
3. プリAF | しない とまりものと同じ |
その他
AFエリアの限定とダイレクト切り換え
AFエリアの切り替えがEOS R7では野鳥撮影の鍵になっているので、被写体の大きさに合わせて
- スポット1点
- 領域拡大AF
- フレキシブルゾーンAF1
- フレキシブルゾーンAF2(必要ならば)
- 全域AF
にAFエリアを限定したうえで、AFエリアダイレクト切り換えをカスタムボタンで割り当てて瞬時に切り替えられるようにしています。
※フレキシブルゾーンAF2には1よりひとまわり大きい範囲を設定してます
とまりもの時は枝の間の野鳥をつかんでトラッキングを開始するために必要ですし、飛びもの時は被写体をAFエリア内に必要十分にとらえ続けるために必要です。
シャッター半押しはAF-ON、親指AFは使わない
EOS R7のAF性能を使うためには、AFは基本的にSERVOで使用します。
そのため一眼レフ時代とは違い、基本的にはシャッター半押しでAF-ONになるようにしています。
また、逆にミラーレスはデフォーカス対策でMFで撮らねばならないことが多々あるため、親指AFを逆にAF-OFFに割り当てています。
そのほか、私は飛びもの撮影ではレリーズを使いますのでシャッター半押しでAF開始じゃないと都合が悪いという理由もあります。
この辺りは本質的なところではないので、好みで良いのではないかと。
レンズのフォーカスプリセット
で以前紹介した通り、ミラーレスの像面位相差AFは、デフォーカスした被写体にとにかくピントが合いません。
近くに鳥がいても、背景の方がコントラストが高いためそちらにピントをとられてしまい、近くの鳥はなかったことにされます。
そこで、レンズのフォーカスプリセットに「一番フォーカスが近い状態」を憶えさせておいて、デフォーカスした場合には一度リセット、そこから再度フォーカスという操作をします。
もちろんこれでも解決しないことは多いですがMFの前の手段として有効です。
ただ、Canonのレンズは取り外すとフォーカスプリセットは消えてしまうので撮影の開始時に毎回セットしてやる必要があります 😛
EOS R7にかえてからはR5と比べてデフォーカス率が激減しました。
あと、AFエリアを切り替えてAFするとどこかでサーチ駆動のようなものがかかって、うまくピントがあってくれる事が増えてます。
ですのでフォーカスプリセットを使う機会は減ったのですが、保険で。
まとめ
EOS R7発売から約2ヶ月、EOS R5でたまっていたストレスから解放されて野鳥撮影が楽しくて撮りまくっていました。
もともと機材の検証や、どういう組み合わせでどう撮れば野鳥を綺麗に撮れるかを試行錯誤するのが好きでしたので久々に検証熱が爆発した感じです 😛
鳥乾期のこの7月、8月をなんとか検証で乗り切れたので、野鳥撮影に適した秋~冬は頑張って撮影したいと思います 🙂
私の設定が何かの参考になれば幸いです 🙂
余談
そういえば、EF600mm F4L IS III USM(RF600mm F4L IS USM)はボケがII型よりも綺麗じゃないという話をよく聞くので、過去にII型で撮った写真と見比べてみてました。
EOS 1DX mark IIで撮っているものはEF600mm F4L IS II USMで、EOS R7で撮っているものはRF600mm F4L IS USMです。
II型 + Ext x1.4。これも枝のボケが2線感が強いです。
野鳥撮影ではボケ味を重視していないのですが、見ていてII型、III型(RF)で共通して感じるのは
「Extender x1.4をつけるとかなり背景がうるさくなる」
という点でしょうか。
正直なところII型のころからすでにその傾向は強かったので、III型やRFが特にボケが汚いとは感じてはいませんでした。
普段はロクヨンで撮るときでも、被写体が小鳥で、かつ15m~20mくらいの距離で撮るせいもあるのかなと思いますが。
最後のヤマセミはかなりの遠距離で大き目の鳥を撮ったのですが、これはさすがに相当背景がうるさいですね。
ですので、おそらく50m超で大き目の鳥を撮る際にExtender x1.4をつけて撮ったりすると気になるんでしょうね。II型のそういったデータを掘り出すのは大変ですので想像ですが。
まぁ何にせよあまり私の用途では関係なさそうです 🙂