EOS R7のCaptureOne対応記念という事で、今日はEF400mm F5.6L USMでロケハンしてきました。
何故EF400?という話ですが、実はRF600mm F4L IS USMってハナから綺麗なのでそんなにCaptureOneで現像時にやることがないためです 🙂
というわけで、私がEF400mm F5.6L USMのMTFや写りをみてすぐ気に入った理由なんかも少し説明しつつ、今日EF400mm F5.6L USMで撮った写真をいくつかCaptureOneでRAW現像してみます。
今日はRAW撮って出しと、RAW現像後を両方貼っていきます。
本日の写真はすべてEF400mm F5.6L USMです。
ムクドリ(若)
それなりに距離がありました(15m~20mくらい?)がムクドリは大きいので400mmでもいけますね。
ちょうど換羽の時期でなんか珍しい鳥みたいに見えます 🙂
▼RAW現像で手を加える前。
EF400mm F5.6L USMはそこまでシャッキリとシャープなレンズではなく、羽毛や輪郭がモヤっとしているのがわかると思います。
(大砲L単焦点と比べての話です。通常のレンズと比べると高コントラスト、かつシャープです。)
また、少しだけホワイトが強くて白飛びまではいきませんが、全体的に白っぽくなってしまっています。
EOS R7というかAPS-C全般の特徴としてL単大砲以外で撮ると、こういう白っぽくてモヤっとした写真が多いです。
▼RAW現像で手を加えた後。
もう全然別の写真に見えます。
シャープネスを少し強くして、少しホワイトを弱くして、かすみの除去などを行って調整しています。
コントラストが高くなり、羽毛はシャープさを増しました。
目のあたりのディテール感と、胸の羽毛の解像感が全然違いますね。
また、全体的に白いモヤっとしたものものなくなっていると思います。
これ、ロクヨンで撮ったと言っても全然信じちゃいますね。
若干遠目&暗め。
流石にこのくらいだとロクヨンで撮った…とはいかないですが、それでもかなり綺麗です。
CaptureOneは露光補正してもノイズが出にくいですね。
あと、これは味付けの問題のように思いますが、フィルム時代のレンズはデジタル時代のレンズと違って濃厚なのが多い気がします。
なんとなくデジタル時代のものは鑑賞がほぼ液晶ディスプレイとかになったので、比較的彩度低めで高精細な感じがしますね。
ヒヨドリ(若)
空がバックだと本来はEVを上げたりして撮らないとなのですが、単純にEVを上げると空は真っ白になって、ほかのもののディテールが失われます。
こういう場合HDRが有効なのですが、野鳥は本当に静止している場合以外はまず無理なので、RAW現像時にうまく持ち上げる必要があります。
これはかすみの除去を行って、シャドウを持ち上げています。
CanonのDPPって、かなりノイズ除去が強めにかけられていて解像度が削られています。
まぁ、Canonの味付けなんでしょうけど他社よりシャープじゃないように見られがちですね。
なので、CaptureOneでプレビュー見ると「ノイズがちょっと強めだな」と感じると思います。
気になる場合はノイズ除去を強めにしましょう。
逆に私は多少ノイズが乗っても解像度を高めたい方ですので、シャープネスを上げます。
このくらいのノイズなら全く気になりませんね。
あと、これもそこまで近くはなかったのですが…本当に綺麗に写ってますね。
これもロクヨンで撮ったといっても全く違和感ありません。
スズメ
至近じゃないスズメですが、全然OKですね。
あらためて、EF400mm F5.6L USM綺麗ですね。
ただ、とってもフィルム時代のレンズ感あります 🙂
これが今の時代はかえって味がありますね。
単焦点Lレンズのすごいところ
でEF400mm F5.6L USMについて少し書きましたが、EF400mm F5.6L USMとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMについて比較してみましょう。
EF400mm F5.6L USMとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM 比較
MTF比較
EF400mm F5.6L USM
【交換レンズ】EF400mm F5.6L USM 機種仕様
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM
仕様 EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM一眼レフ用交換レンズ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの仕様について紹介しているページです。
以下、S(放射方向)、M(同心方向)について、わかりやすい解説があったので貼っておきます。
MTF曲線の見方を超ザックリ解説
MTF曲線の見方を超ザックリ解説【レンズのコントラストと解像度を知る】レンズのカタログを見ていると必ず出てくるグラフ、MTF曲線。イマイチ見方がよくわからない…。という事で、MTF曲線について調べてみました。可能な限りシンプルにまとめたので、「MTF曲線の見方のポイントだけ知りたい!」という方も参考にしてみてください。
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMは、解像力がかなり高くて30本/mmが0.86くらい。
逆にEF400mm F5.6L USMは解像力はそれより劣っていて30本/mmが0.8くらい。
つまり、中央の解像力は100-400が高いです。
ただ、見てわかる通り100-400はセンサー中心からの距離によって大きく急激にしかも不規則に落ち込みます。
これ、簡単に言うと「100-400の方は中心の解像力はあるものの、写真の中で像が安定していない」とうことです。
ただ、これはズームレンズ全般がそういうものなので100-400が特にどうというものではありません。
どうしても、100~400mmまで写せる利便性のためにそのあたりは妥協されています。
逆に400の方は、緩やかに安定したカーブで少しずつ落ちていきます。
これは「400の方は、中央の解像力は100-400より低いものの、写真全体で像が安定していて、ボケも綺麗」ということです。
これも、400が….というよりは安定しているのは単焦点Lレンズ全般の特徴です。
100-400の方が中央付近で精細にとれることが多いけど、全体の安定感やボケは400の方が良いという感じですね。
RAW補正の余裕
この結果何が起こるかというと「400の方は像が安定しているので非常にRAW現像時に補正しやすい」という事になります。
この安定度はRAW補正をかける際に「どれだけ補正範囲に余裕があるか」につながります。
100-400と400を比べると、中心から端までの解像力やコントラストの落ち込み具合は倍くらいの差がありますね。
この差はボケにも影響してきます。
たとえば、RAW現像時にシャープネスをかける場合。
シャープな部分とそうじゃない部分も不規則にある写真と、シャープネスが安定している写真のどちらがRAW補正しやすいか?当然、後者です。
コントラストやかすみ補正などでも同じことが言えます。
とはいえ、RAW現像時の補正には限界があります。
これは極端な例ですが、シャープネスを強くするとどんどんノイズが増え、エッジが強調されて写真ではなくアートのようになっていきます。
ですので、「自然さを失わない程度の補正で、満足いく画質が得られるレンズ」が必要となるわけですが、EF400mm F5.6L USMは、まさにそういうタイプのレンズです。
トリミング時の安定度
また、「400の方はフレームのどこでトリミングしても安定した写真を得られる」というのも大きな特徴です。
鳥の場合は動きものを撮る場合はどうしても中心から外してしまうことが多いです。
カワセミ撮影で、フレームの端にギリギリ写ったカワセミというのはよくある話ですが、それでもトリミングすれば十分な画質を得られます。
結局どちらがいいのか?
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMとEF400mm F5.6L USMどっちが良いかという話は難しいところなんですが、EF100-400はズームで利便性が高く、ISも強力、防塵防滴、AFも高速ですので高価なのには訳があるという感じです。
まぁ値段に関してはEF400mm F5.6L USMが異様に安いだけなんですが。
多分EF400mm F5.6L USMにISがついて防塵防滴、AFも後期型になれば25万円~30万円くらいはする気がします。
そしてEF400mm F5.6L USMは野鳥には良いのですが、他の用途にはあまり使えません 😛
ハッキリ言って利便性は最悪と言って良いです。
結論としては、ほとんどの面でEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの方が優秀、ただ画質に関してはEF400mm F5.6L USMの方が安定したL単的な画質で、R7や質の高いRAW現像ソフトと組み合わせることで良い結果になる場合があるという感じです。
レフ時代ではEF400mm F5.6L USMはもう流石にそろそろ厳しいかな?という状況だったのですが、ミラーレスになってボディ内手振れ補正の恩恵を受けられるようになり、さらにデジタル画像処理が進歩してRAW補正によって画質を改善できるようになったため、復活したレンズですね。
扱いが結構難しいので長所も短所も理解して使う上では、R7 + EF400mm F5.6L USMは非常に良い選択肢と思います。
お値段的にはEF400mm F5.6L USMはEF100-400mm IS II USMよりも結構お安いので、私みたいに単焦点好きでサブで使うなら特に。
よく光学系はEF400mm F5.6L USMと同じでいいから、RF400mm F5.6L IS USMを発売してくれという声がありますが、私も全く同感です 😛
RF600mm F4L IS USM (EF600mm F4L IS III USM)は?
ちなみに、ロクヨンはこんな感じです。
RF600mm F4L IS USM (EF600mm F4L IS III USMと同)
レンズの焦点距離が大きくなると通常はコントラストも解像力も低下します。
しかし、400mm F5.6Lと比べても非常にコントラストも解像力も高く、更に中心から周辺にむけても安定しているのがわかります。
更にこれでF値もF5.6 → F4というチートアイテムです。
EF600mm F4L IS III USM + Extender x1.4
Extender x1.4を装着すると840mmになりますが、それでもAPS-Cで使われる~14mmくらいまでの範囲では非常に滑らかで安定しています。
MTFはただの指標ではあるのですが、EF400mm F5.6L USMとRF600mmF4L IS USM + Extender x1.4をくらべると、400mmは近距離、600mm(840mm)ではかなり離れて同じ被写体を同じ大きさでフレームに入れて撮った場合、恐ろしいことにRF600mmF4L IS USM + Extender x1.4の方が綺麗という事になります。
自分で言うのもなんですが「そりゃこんなレンズ使ってたら楽に撮れますよ」という感じです。
カメラマンが400mmで必死の思いで距離を縮めて撮った写真と、600mm+Extender x1.4 (840mm)で、かなり遠くから鼻歌交じりに撮った写真が、後者の方が綺麗という理不尽さです。
これが、野鳥撮影は装備性能が7割以上を占めるといわれる所以です。
ただお値段は10倍以上しますので、RF600mm F5.6L IS USMくらいで半額くらいの軽い単焦点Lレンズが欲しいというのが本音です。
ちなみにRF400mm F2.8L IS USMは?
RF400mm F2.8L IS USM
見た瞬間にわかります。
同じ400mmの400mm F5.6L USMと比較すると特に際立ちますが、化け物ですね。
まるで、幾何光学的MTFのグラフをみているようです。
※SONYなんかがMTFチャートが1近くにはりついてるのは計測基準が違うからです。
400mmまでしか必要ない環境でしたら、まぁ…まず間違いなく最強ですね。
正直ここまで凄まじいとマイクロフォーサーズで撮って、換算800mmのF2.8として使ったら恐ろしいことになるんじゃないかと..。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
ついでに一時期使っていた RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM です。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
仕様 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM:レンズ交換式カメラ・レンズ交換レンズ RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの仕様について紹介しているページです。
500mmですので、400mmよりはMTFチャート的には少し低いのは当然なのですが、コントラストが若干安定しないものの、全体的に安定していて良いですね。
F7.1ですので、かなりすごいと思います。
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの延長上にはありますが、よくぞ500mmでここまで…ですね。
お高いだけあるな..という感じです。
EF500mm F4L IS II USM
当然、EF500mm F4L IS II USMはこっちはこっちでとても化け物です 😛
CaptureOne
スピード
現像結果だけを見るとCanon DPPもかなり綺麗です。
ただ、Canon DPPはとにかくすべてが遅い。
同じようにいろいろと調整しながらRAW現像した場合、上のムクドリならばCaptureOneならば1分程度。DPPならばRAW現像の時間も含めると10分くらいかかるんじゃないでしょうか。
CaptureOneはとにかくプレビューが速く、快適にRAW補正できます。
例えば露光やシャープネスを上げてプレビューが表示されるまでの時間は1秒とかです。
Canon DPPでは4Kモニタとかつないでいると、同じスペックのPCで30秒~1分くらいかかります。
また、今回もなんだかんだと数百枚の写真を撮りました。
DPPは写真が増えるほどリストが重くなっていって最後にはクラッシュするぐらい重くなります。
逆に、CaptureOneはそのあたりはほとんど重くならないので、整理も非常に楽です。
画質
ここからは体感的なものになりますが、CaptureOneでの補正はノイズが出にくいと感じています。
補正をかけた場合、ほとんどのRAW現像ソフトではノイズが急激に増加します。
DPPがノイズが少なめに見えるのは、ノイズ除去がかなり強くされているからで、かわりにディテールが失われがちです。
CaptureOneの場合、そこまでノイズが増えないので結構おもいきって補正をかけられます。
DPPだと補正をかけるとノイズがかなり増えるため、あまり思い切って補正を大きくかけることができません。
ですので、DPPはRAW現像は良いのですが、RAW補正についてはやりづらく感じます。
CaptureOneでRAW現像すると、特にRAW補正をしやすいレンズで撮った写真では、レンズ性能が1~2ランクアップしたような感覚を持ちます。
ただ、ロクヨンのようにハナから綺麗なものはそんなに変わりません 😛
それでもシャープネスを躊躇なく強めにできるのでシャッキリしますが。
問題点
結構お高いです。
ようやくEOS R7に対応してくれたのでサブスクリプションをやめて購入しようと思いますが、4万円くらいかな…?
ただ、私にとっては必須なRAW現像ソフトなので仕方なし…。
遠距離の写真はどうか?
今日は天気もあまりよくなかったのでロケハンがてら、京都の別の川を3時間(!)ほど自転車で流してきました。
暑かったので死ぬかと思いましたが。
カワセミは結構みかけたので、結構良いなと思いつつ、普段行っている川と比べるとかなり被写体までが遠い感じです。
30m〜40mくらいですかね…?
あわよくば飛び込みを…と思って1/4000にしてたのでISOも1250いってますが、この距離になるとEF400mm F5.6L USMではちょっと荷が重いです(正直、かなり善戦してますが)。
これはさすがにこれ以上補正しようがないので、私が満足できる画質で撮ろうと思うと、ロクヨンなりを使うしか方法はありません。
まとめ
- EF400mm F5.6L USMはRAW現像することである程度の距離なら大砲並の画質に。
- ただし、RAW補正での補正には限界がある。
- CaptureOneは非常に高速。更にノイズが少なめで補正をかけることができるのでオススメ。
- ただし、CaptureOneはちょっとお値段がお高い。
待ちに待ったCaptureOneのEOS R7対応で、EF400mm F5.6L USMが非常に使いやすくなりました。
またRAW現像が強化されたので、RF600mm F4L IS USMの方でも思い切った撮影ができます。
むしろ問題なのはこの先またずっと天気が悪そうなことでしょうか…。