では、そろそろノウハウもたまってきたのでカワセミ撮影のコツなんぞを。
カワセミ撮影について
私はしっかりとカワセミ撮影をはじめてまだ3~4年ほど、集中して撮った期間ではまだ2年程度。
まだまだ初心者~中級者の間にいると思いますが、成長の過程でどんな事を感じていたかを残すためにも、ちょくちょくその時々の撮り方記事を残していきたいと思っています。
ずっとこのサイトを見てくれている方にとっては同じような事を何度も書いているように見えると思いますが、ご容赦を。
前回はこの記事で、主にEOS 1DX3を使って撮影していたものです。
今回はEOS R3を主体で使い始めて、「中級者らへん」にいる現在のものとなります。
まだ中級者には至っていませんが至る道筋は見えたかなという状況です 🙂
初心者~上級者
ここで書いている初心者~上級者という区切りは私見ですので、どのくらいのことができたら初級者と考えているかなど、ちょっとまとめたいと思います。
初心者
カワセミの撮影に取り組むための準備が整うまでが初心者なのかなと思っています。
私がカワセミを撮りたいなぁと思った時点では、
- カワセミになかなか会えない&良い撮影場所を知らない
- 撮影はとまりもの中心で、動体撮影はどうすれば良いかよくわからない
- 動体撮影するための機材が揃っていない
という感じで「カワセミの飛び込みって狙って撮るの無理じゃない?」くらいの感覚でした。
この時に近場でようやくカワセミがやってくる場所をみつけて、ゴールデンウィークを利用して一念発起して固めて練習したのがきっかけでした。
この時は置きピンで撮ってますね 🙂
仕事をしながらカワセミ撮影をものにしようと思うと相応の忍耐力が必要となりますが、撮れるようになってくるととても楽しいので、興味のある方は挑戦してみることをオススメします 🙂
ずいぶん昔に書いた記事で間違ったことも書いているかもしれませんが、参考にどうぞ。
初級者
カワセミの着水~浮上の水絡みを高い確率で撮影できるようになれば初級者なのかなと思ってます。
この状態に至るまでには結構な撮影回数を経ねばならないでしょうし、機材をそろえて、撮影スキルや知識なども入れていかねばならず、人によってはかなりの時間がかかるんじゃないかと思います。
良い場所を知っていて、カワセミ撮影だけに集中すれば土日しか時間のとれない現役勤労者でも数か月くらいで到達できそうですが、私の場合はカワセミ以外も撮るので大体1年~1年半くらいかかりました。
どのくらい精細に撮影したいかは人それぞれだと思いますので、「高精細に撮影したい」というこだわりがあると、この段階で相当苦労すると思います。
私は「とにかく高精細に撮りたい」方の人間ですので、この段階でかなり地獄を見ました。
- 出来るだけ近くで撮影できる場所が必要
- 高精細に撮れる機材が必要
- 近距離のダイナミックな動きに対応できるAF性能をもった機材が必要
- フレーム内の被写体サイズが大きいほど難易度が高くなるのでスキルが必要
ということで場所探しから、機材購入、スキルの上達まで相当な時間を要しました。
私は初めから苦労する方を選びましたが、短い焦点距離で撮れるようになって徐々に長い焦点距離にしていくというのがなんとなく正道な気がします 😛
私の感覚では、この段階ではミラーレスより一眼レフの方が遥かに撮りやすかったです。
被写体を追いかけ続けなくても、一眼レフはシャッターを押したときに被写体にAFエリアがかすっていれば、デフォーカスがきつくても瞬時にピントが合う仕組みだからですね。
現状のミラーレスは逆に被写体検出や追尾などが得意なものの、ワンショットに近い撮り方は苦手ですので、ミラーレスだと「背景にピントがもっていかれる」という感覚が強いはずです。
最新のα9IIIとかは知りませんので、EOS R3くらいまではという話ですが。
中級者
私はまだまだこの域には到達できていませんが、飛び出しから追いかけて飛び去りまで、高い確率でフレームに被写体をいれ続けて撮影できるようになれば中級者なのかな、と思ってます。
こちらも人によって難易度は変わりそうで、撮りやすいロケーションで撮影できるかというのはもちろんありますし、視力や反射神経なんかでも随分変わりそうです。
ファインダーを覗いて撮るか、照準器で撮るかでも難易度は違いそうですが、ファインダーは見失い易いかわりに、照準器のような視差は発生しませんし、どっちもどっちですね。
ただ、ファインダーで撮った方が撮ってる感が強いので楽しいです 🙂
しっかり追いかけられるようになってくると水絡みだけではなく、飛び込みから着水に至るまでのカワセミの様々な表情が撮れるようになってきて、別の楽しみができますね。
もちろんこれも、フレーム内にどのくらいのサイズで被写体をいれて撮影するかで大きく難易度はかわります。
私の場合はどのシーンをどのくらい精細に撮れているかで「この写真凄いなぁ」とかを判断しています。
あまりありませんがノートリでフレーム一杯にカワセミを入れて難しいシーンを撮ってるような写真は、やはり「尋常じゃないなこれ」とか思っちゃいますね。
「高価な機材なら撮れて当たり前」のような事を言う人もいますが、こういうのはスポーツマンシップ的な同条件での撮り比べではないので、「それだけ高価な機材をカワセミ撮影に使用している」こと自体が凄いと考えるのが適切かなと思います。
野鳥撮影を続けていると、最新のボディに最新の大砲レンズを使って撮影されている方が沢山いますが、素直にそれだけの経済力をもっていることと、それだけのお金を撮影にかける本気度が素晴らしいですね。
私ももっと野鳥撮影にお金をかけられるよう、精進したいところです 😛
また、ずっとカワセミを追いかけられるようになると、ミラーレスでの歩留まりがずいぶん向上するように思います。
ミラーレスの長所である被写体検出や追尾が効いてくるからで、EOS R3を使っている限りでは「そこでピントを戻してくれるんだ」とか「お、ずっとピント合ってる」っていうシチュエーションが増えてきます。
結局のところ、スキルが上達してくると、どんな機材でも撮れるようになっていくんでしょうね。
上級者
人によってどこまでのものを撮りたいかは違うと思いますが、満足できる写真を確度高く撮影できるところまで到達できた人が上級者なのかなと思います。
大体は「こう撮りたい」というのがあって、それができるようになると「こう撮ってみたい」が新たに出てくるため、なかなか完全に満足とはいかず結構な年数がかかるんじゃないかなと思いますが。
私の場合はやはり高解像度で飛び込みから飛び去りまで、どんなシチュエーションでも追尾して撮影できるようになるというのが目標ですので、まだまだ先のみえない夢です。
中級者への道
初心者のとこでも書きましたが、カワセミ撮影はスキルだけではなく
- ロケーション
- 機材
- スキル
これの総合力だと思っていますので、それぞれについて。
ロケーション
やはり、一番大事なのはロケーションです。
「安定してカワセミの飛び込みを好条件で撮影できる場所」の確保がとにかく大事ですね。
いま通っている場所は、秋~冬の間はカワセミが常駐していて1時間おきくらいにはダイブを披露してくれるのと、距離10mという距離で飛び込んでくれることもあるため非常にGoodです。
ただ、岩の陰などに飛び込みやすくて、そこは厳しいので、もう少し撮りやすい場所があればとは思いますがなかなか見つかりませんね。
動画など見てると「ものすごい好ロケーションだなこれ」って言うのが多いので、引き続き良い場所は探していきたいですね。
機材
私の場合はRF200-800mm F6.3-9 IS USMの発売によって、ようやくEOS Rシリーズでのカワセミ撮影に本腰を入れられるようになりました。
今現在はEOS R3 + RF200-800mm F6.3-9 IS USMでの撮影が非常にバランスが良いです。
マスターレンズの焦点距離800mでnano USMなためAFは高速ですし、カワセミならば距離15m~20mのRAW加工で画質も問題ありませんし、F9ならばISO3200~6400くらいまでで夕方でも撮影可です。
EOS R1やEOS R5 mark II、EOS R7 mark IIの発売はなんだかんだと第4四半期までずれ込みそうですし、当面はこの機材での撮影となりそう。
正直なところEOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USMで不満はなかったのですが、ミラーレス化の流れはとまりませんし、1DX3での撮影よりはEOS Rシリーズでの撮影の方がこのサイトをみている方も興味があるでしょうし…という事で。
あと、撮影してみてわかったのですがやはりレンズは小さくて軽い方が撮影しやすいのでカワセミ撮影ではもう既に大砲には戻れなくなったかもしれません 😛
スキル
このショットはくちばしが思い切りはみ出てしまっています 😛
フルサイズ+800mmで距離10m、この距離/被写体サイズでの追尾撮影は私のスキルではまだまだ厳しいです。
ただカワセミ撮影で安全策をとって撮影してしまうと発見もないし、同じようなショットになってしまうし、スキルも向上しないので、必要なのは「失敗を恐れない」ということな気はします。
春~初夏は繁殖期でカワセミの行動が不安定になるため1回の飛び込みが貴重で、なかなか失敗を恐れずに撮るのは難しいので、やはり晩夏~冬に固めて練習…が効率は良いですね。
動画などをみてるとたまに「なんでそんな精度で追っかけられるの?」っていう凄い人がいますが、なんとかそのレベルまで到達したいものです。
撮り方の紹介
着水予測地点での待ち構え
初級者まではこの撮り方の方が良いようには思いますし、着水以降を撮りたい人はこの撮り方が効率が良い様には思います。
- レンズを振る距離が短く、途中の軌道を気にしなくて良い
- どんな機材でもおそらく撮れる
- とまり木にとまっているカワセミがしっかり見えなくても撮れる
特に最後のポイントはカワセミを追いかけられるようになってからでも有効ですので、この撮り方はできるようになっておくと便利ですし、年をとって身体能力が衰えてもこの撮り方はできそうです。
- あらかじめ予測した着水点の「少し手前」にピントを合わせておく
- カワセミの挙動から飛び出しのタイミングを測る
- 飛び出したら着水点にレンズを振る
- カワセミが着水した瞬間くらいからシャッターを切り始める
で撮れます。
少し手前にピントを合わせておくのは、ミラーレスでは背景に一度ピントがあってしまうと手前がぼやけてデフォーカス状態となってカワセミにピントが合わないためです。
手前に合わせておくと奥に向かって被写体を探してくれるような挙動になるので成功率が高まります。
1つだけ、この撮り方はシャッターを切るタイミングが難しいのでそこは練習。
はやくシャッターを切ってしまうと、結局背景にピントを持っていかれてしまいます。
ワンショットAFに近い撮り方ですのでほとんどの機材で撮影できますし、まずはこの撮り方でカワセミの飛び込みに慣れて撮れるようになるのが良いように思います。
飛び出しからの追尾
着水地点での待ち構えができるようになると、カワセミの挙動にかなり慣れてきているはずです。
特に飛び出しのタイミングと着水地点は正確に測れるようになりますので、追いかけができるようになってきます。
この撮り方をする場合はサーボAFに強い機材を使わないと着水まで全然ピントが合わなくて追いかける意味がないので、機材はより高性能なものが必要になります。
ボディ的にはEOS R3やEOS-1D X mark IIIくらいのAF性能はあった方が良いと思います。
あとはボディに適合した、短い間隔でピントを合わせ続けてくれるレンズが重要ですね。
EOS R3 + RF200-800mm F6.3-9 IS USMは高速なAF処理速度と応答性の高いnano USMで小刻みに素早くピントを合わせ続けてくれるので、サーボAFでの撮影の相性が非常に良いですね。
EOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USMは古いレンズでAFの応答性は良くはないのですが、リングUSM自体はトルクが高いので、サーボAFでピントが合う間隔は長めだけど、モーターが動き始めると爆速でピントを合わせてくれるような感覚です。
この撮り方では前者の方がやはり30コマ/秒の連写であったり、AFエリアがフレーム一杯だったりで多くのメリットがあるのですが、後者は一眼レフAFの特性で悪条件になるほど「なんとかなる」ことが多いですね。
この撮り方は「飛び出したらすぐシャッターを押し続ければ良い」ので、シャッタータイミングについては着水タイミングを測らなくて良いという点で、待ち構えより随分楽です。
飛び出すまで被写体をずっと見てますし、飛び出しのタイミングも掴み易いのでその点でも「タイミング」という面では全般的に楽ですね。
あと、ずっとカワセミを追いかけますので途中でホバリングをはじめたり、イレギュラーな行動をした場合でも撮りやすいというメリットはあります。
余談ですがカワセミでこの撮り方を練習すると、ヤマセミなどの遅い鳥はかなり余裕で対応できたりします。
ヤマセミの飛び込みを狙うとスローモーションのように見えますね 😛
もちろん他にもとりづらい野鳥はいると思いますが、カワセミ撮影で一度練習すると色んな所に応用がきくように思います。
まとめ
この2年間ほどは晩夏~冬はカワセミ撮影をするようになったのですが、その中で感じたことなどまとめてみました。
偉そうな事を書いていますがまだまだ初級者で、ようやく中級者になるための道がみえてきたかなという状況です。
初めのうちは飛び込むカワセミをAFエリアがかすれば良い方という程度でしたが、ようやく着水はほぼ確実にAFエリアを合わせられるようになりました。
カワセミ撮影では、どのくらいの解像度で、どのシーンを、どのように撮りたいかで必要な機材や難易度が変わりますが、「高精細に撮りたい」というのは私の野鳥撮影の根本的なテーマですので、時間はかかるかもしれませんがまた挑戦していきたいと思います 🙂
これからカワセミ撮影をされる方や初級者の方にとって、何か参考になるところがあれば幸いです。
では、頑張っていきましょう 🙂
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