はい、RAW現像についてはまだまだ練習中ですが、現時点でやってることを紹介します。
今回はPCで4Kモニターなどで見るとわかりやすいです。
野鳥撮影とRAW現像
RAW現像をする最大の理由、それはひとえに「まだまだ野鳥撮影はシビアな撮影を要求される分野だから」です。
これが好条件下での撮影を保証された被写体ならば、JPEG撮って出しでもなんとかなると思います。
やはり自然の動物を相手にした撮影は、言葉も通じなければ場所も時刻も天気も思い通りにはなりませんので、刹那の撮影チャンスに最適な設定で撮るというのはかなり厳しいものがあります。
ですのでベターな設定で撮っておいて、後からRAW現像による加工で綺麗にする方が撮れ高は向上します。
ただ、おそらくですがあと数十年後には野鳥撮影もイージーな分野になっていると思います。
カワセミなんかでも、なんとなくカメラを向けて動画をとればすべてOKという時代になっているはずです。
8K動画が気軽に撮れる時代になったら7680×4320 = 3300万画素ですので、これでちゃんとシャッタースピードを設定して動画が撮れるようになれば、もうスチル撮影自体が必要なくなっちゃいますしね。
ですので、趣味として今が非常に楽しい時期なんじゃないかと思ってます。
私が野鳥撮影を続けられる期間は長くても後25~30年ほどだと思いますが、晩年はどういう時代になってるんだろう。
EF800mm F5.6L IS USMが発売されたのが15年前の2008年だからそんなに変わってないかもよ。
まぁどちらにせよ今後AIの進歩でいろんな趣味が色褪せて行くから、今のうちに楽しんでおくのが良いね。
RAW現像の例
元写真
今回は元画像としてこの写真を加工していきます。
拡大するとわかりますが、ISOは低いものの暗いのでまぁまぁノイジーですし、露出を下げて撮っているのでサンコウチョウの体はただの黒色になってます。
輪郭もかなりボヤケてますね。
今回は基本的な加工でこの写真を綺麗にしていきたいと思います。
昔は暗所で黒い鳥を撮ってもどうにもならなくて諦めてたなぁ。
そうやってレンズ沼にハマっていくんだよね。
前段階でDxO PureRAW3
DxO PureRAW3は…できれば購入するのをお勧めします。
これだけでレンズやボディ性能を1~2ランク分くらい稼げますので非常にコスパが良いです。
DxO PureRAW3の機能は大きく2つ。
ノイズ除去
これは、DxO PureRAW3にレンズ情報がなくても適用できます。
私が愛用しているEF800mm F5.6L IS USMはあまりにも使用者が少なくてDxO PureRAW3にはレンズ登録されていないので間違いありません 😛
ノイズ除去はそのままノイズが減るという効果はもちろんあるのですが、その結果「CaptureOneでフィルタをかけた際のノイズが抑制される」というのがとにかく大きいです。
露出補正やシャープニング調整など様々な調整をCaptureOneでかけると、普通ではどうしてもノイズが浮いてくるのですがそれがほとんど浮いてこなくなります。
光学補正
DxO PureRAW3にレンズ情報があれば、「シャープネス」「ヴィネット」「色収差」「歪曲収差」を補正してくれます。
こちらは細かい調整ができませんのですべてOFFにしてCaptureOneに任せても良いと思いますが、好みで。
私はEF800mm F5.6L IS USMを使ってるせいで有無を言わさずOFFになっています。
大砲レンズの場合はそもそものレンズ性能が非常に高いので、実はこの辺は適用しても大して変わりません。
DxO PureRAW3をかける前後の比較
この時点で既にノイズ量が段違いなのがわかります。
凄いのは、PureRAW3のノイズ除去はディテールを残したまま…というかむしろ鮮明になってます。
これをベースにCaptureOneやスーパー解像度で処理をしていきます。
一度使うと、もうナシでは生きていけないよね。
ISO800くらいまでで撮ってれば、ノイズがほぼなくなるのが恐ろしいね。
CaptureOne
私がCaptureOneでよく使う加工は以下の7つ。
特別な現像の場合は他の機能も使いますが、基本的にこれらを少しいじれば満足できる画質が得られます。
0. ノイズ除去
これは加工というよりは、DxO PureRAW3を使った場合の特殊調整。
ノイズ除去は基本的に0で大丈夫です。
適用するとかえっておかしなことになりますので注意しましょう。
1. トリミング
特筆するものでもないですが、トリミングです。
ローテーションもできるので、水平が著しく傾いている場合もここで補正します。
今回はサンコウチョウの♂ですのでせっかくなので尾羽を際立たせます。
2. 露出補正
私の場合は特に白飛びを抑えるために露出補正して撮ることが多いので、露出補正では常に+1~+2します。
今回はそもそもEV -2で撮っているので +2。つまりボディの測光は正しく評価されていたという事ですね 🙂
この時点でグっとディテールが浮いてきていますが、全くノイズはのってきませんね。
DxO PureRAW3がなかったらこの時点で既に厳しい状態になってます。
3. ホワイトバランス
DxO PureRAW3やスーパー解像度を経由するとホワイトバランスがおかしくなることがあります。
ここで自然な色に補正しますが、今回はほとんど補正してません。
4. ハイライト、シャドウ調整
シャドウはよく使う補正で、鳥は目のあたりが黒かったりする場合が多いためシャドウを持ち上げて不自然にならない程度に見えるようにします。
ハイライトの方は、露出補正して撮っていてもなお光が強い場合に下げます。
真っ黒だったサンコウチョウの体のディテールがさらにグっと浮き上がってますね。
ここで恐ろしいのが、普通はシャドウをここまで上げるとノイズがかなり浮いてくるのですが全く浮いてこないんですよね。
PureRAW3なしでここまでの加工をかけたものと、PureRAW3ありでかけたものを比較すると一目瞭然です。
5. かすみの除去
これは今回はそこまで効果は感じませんが、実はかなり重要な調整項目です。
ズームレンズはコントラストが低くかすみがかかったような写真になる事が多いのですが、かすみ除去を少し上げるだけでぐっと写真が引き締まります。
サンコウチョウのように比較的コントラストの高い鳥はそこまで大きくかける必要はありませんが、そもそも環境的に少し霧がかかってたり、手前に葉があってその後ろの鳥を撮っている場合などはそれらを除去できます。
少し灰色っぽくかすんだ部分が引き締まっているのがわかると思います。
コントラストが高まるのですが、コントラストを調整するよりは、よりかすみを取り払うような効果になるのでこちらの方をよく使います。
私の場合は「露出」、「シャドウ/ハイライト」、「かすみ除去」の3つをセットでバランス調整しています。
6. シャープニング
みんな大好きシャープニングです、眠かった写真が一気にシャッキリします。
シャープニングは解像させたいときと、ブレをごまかしたいときに使います。
半径を大きくすることで、より周囲の画素を巻き込んでシャープにしますので、かなりブレをごまかすことができます。
これはシャープニングを強くかけすぎた例。
強くやりすぎるとエッジが過度に強調されて、「エナメル質」に見えてしまいます。
シャープニングのご利用は計画的に。
シャープニングは被写体の画素数が多ければ多いほど強くかけても破綻しませんので、これがEOS R7が他のボディよりも「精細に撮る」という事に長けている大きな理由の一つです。
7. クラリティー
クラリティーは「明瞭度」のことです。
私は「ナチュラル」の「ストラクチャ」で調整することが多いです。
今回は目や羽毛の明瞭さが全然違いますね。
シャープニングに近いので私の場合はシャープニングとクラリティーでどれだけ明瞭/精細にするかを調整しています。
CaptureOneが凄いのは、これらの加工の綺麗さもあるけどプレビューが恐ろしく速い事。
CanonのDPPでもそれなりに加工できるけど、10倍以上の時間待たされるな。
こういった調整は「いろいろ試す」ことが大事なので、プレビューの反映スピードは非常に大事。
現像も狂ったように速いし、流石プロ御用達の現像ソフトだな。
Adobeスーパー解像度
画素数が多くなって解像度が高くなると、線が少し細くなります。
もちろんシャープニングの半径を大きくして強くかけるなどして太くすることもできるのですが、線が細いのが繊細さにつながりますのでそのあたりは好みで。
またAdobe スーパー解像度は常に使えば良いというものではなく「画素数が足りなくて解像度が足りない場合」に効果的です。
今回は
- スーパー解像度なしでは 1641 x 2462 = 4,040,142 で約400万画素
- スーパー解像度ありでは 3282 x 4923 = 16,157,286 で 約1600万画素
ですので、大体このくらいがスイートスポットな感覚がありますね。
これより元の画素数が少ないとスーパー解像度でAIスケーリングしてもメッシュのようなノイズが目立ちますし、逆に初めから1600万画素くらいあるとそれ以上解像度を向上させても4Kディスプレイでもあまりわかりません。
今回は尾羽が際立っていてサンコウチョウ本体だけをクローズアップする必要がないので、無理に使う必要はないと言えばないです。
低画素なEOS-1D X mark IIIでカワセミを撮ってると、効果が絶大なのでかなり重宝するね。
EOS R7 + 800mmの場合は30m超で小鳥を撮ると、画素数が不足しだすから重宝するね。
撮影機材や環境によってはあまり効果がない場合があるから、そのあたりはケースバイケースで。
ブラウザでノイジーに見える場合
これは以前にも書きましたが、ブラウザなどでの画像縮小処理は速度重視のアルゴリズムの場合が多く、CaptureOneなどで見ていると全然気にならないのに、ブラウザでみるとノイズが気になるという場合があります。
デジタルでは画素数が多い時には精細な画像、画素数が少ない時には粗い画像を使った方がノイズやジラつきは目立たず綺麗に見えるという性質があります。
ですので、そういう場合は「あらかじめ優秀なアルゴリズムで縮小しておく」ことでノイズをおさえることができます。
EOS R7でISO1600~3200で撮ると、DxO PureRAW3でもノイズを消しきれなくてそういうことが起きることがあります。
高精細な写真を低解像のモニターでみると眠く見えるのと一緒だね。
そういう場合もあらかじめ縮小しておいた方がシャッキリするね。
まぁ、どういう媒体を主ターゲットにしてるかで最終解像度は決めたら良いね。
まとめ
※RAW現像なしのほうは、露出補正だけ+2しています。
CaptureOneは単体でも非常に優秀な現像ソフトだったのですが、DxO PureRAW3を前準備で適用することで使い勝手が非常に良くなりました。
とにかくどのフィルタを適用してもノイズが浮き上がってこないので、「好きなだけ調整できる」ような感じです。
もちろんCaptureOneはもっと高度な使い方も沢山ありますが、現像にはスピード感も大事ですので私はこの辺りの加工で普段は現像しています。
DxO PureRAW3やスーパー解像度が適用された状態からならば、現像自体は1枚で数十秒くらいです。
ここに書いた程度のRAW現像をマスターするだけで、機材のランクが2段階ほど向上したような出力ができますので高級な機材を購入する前に是非一度試してみてはいかがでしょうか。
楽しい野鳥撮影ライフを 🙂