先日カワセミを撮りに行ったときにPhotoshopのスーパー解像度が良いかもという話を聞いたので、ちょっと試し。
手順
現像の手順としては、Photoshopでスーパー解像度のDNGを作成して、それをCaptureOneで読み込ませてRAW現像するのがスムーズでした。
RAW現像に関してはやはりPhotoshopはCaptureOneに比べるとちょっと弱いですね。
CaptureOneのノイズレスなシャープネス系機能はやはり秀逸だな…と思います。
ただ、CR3ではあまり起こらないのですがDNGだとたまにCaptureOneが不安定になりますね。
EOS R7 現像比較
Part.1 20m~25m程度の動体
EOS R7で撮った写真を、通常の現像とスーパー解像度で比較。
これに関してはちょっと意外な結果が。
EOS R7の場合は「十分に画素数が足りていることが多い」ので、逆にボヤけてしまうような感覚。
RAW現像時のフィルタ設定もいじってはみていたのですが、シャープさが増す..という感じはあまりなく。
そもそも解像してるので、画素数を無理矢理増やしてシャープネスを強くかけるという工程が逆効果なんでしょうね。
EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMのように、そもそも解像力の高い写真に関しては使わない方が良さそうです。
Part.2 35m~40m程度のとまりもの
これはEOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMですが、かなり遠くて画素数が足りなくてボヤケている写真に適用。
アップ写真を比べてみるとわかりますが、かなり効果がありますね。
「画素数が足りなくてボヤケている写真」については総じて効果が高い感じです。
EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMも射程が伸びるようなイメージですのでこれは使えますね 🙂
35m~40mほど離れた小鳥撮影でここまでの解像度が手に入るなら文句なしです。
更に近づく必要がなくなってしまったw
ただちょっとおもしろいのはスマホくらいのサイズで見ると、右のスーパー解像度の方がボケて見えるんですよね。
スマホなどの画面では表示する際に元画像が縮小されて表示されるわけですが、画質よりもスピード優先の縮小アルゴリズムが使われているせいで潰れちゃうんですね。
なので本来は「どの媒体で見るか」で解像度は調整しないといけませんが、このブログでは基本的に拡大してドットバイドット近くで見ることを前提としています 😛
EOS-1D X mark III 現像比較
Part.1 20m動体
EOS-1D X mark IIIの場合は「効果覿面」ですね。
そもそもスーパー解像度は画素数を増やして、その間をAIで補間させる機能ですので用途的には非常に適合します。
EOS-1D X mark IIIの場合は解像度不足による「ボヤケ」が気になりますが、劇的に改善されていますね。
上の写真ではクチバシの根本や目元あたりがEOS-1D X mark IIIの解像力ではかなり心もとないのですが、改善されています。
まぁ、AIによる補間に関しては「現実ではないものを付け加える」ということでいわば創作しているようなものですので賛否両論なんでしょうが、私はそんなには気にしません。
明らかに写真内にないオブジェを追加する…とかは流石にどうかとは思いますが。
縦横2倍ですので、画素数的には4倍。
画素数だけを見るならEOS R7と同等くらいまで引き上げられてます。
画素数をただ4倍にしただけだと意味はないのですが、ある程度AIで補間してくれるのでその状態からRAW現像すると解像度アップが見込めるという事ですね。
総じてスーパー解像度を使っただけだと元画像より眠く感じたので、質の高いRAW現像のフィルタとセットで使う前提と考えた方が良さそうです。
Part.2 20m動体
こちらもEOS-1D X mark IIIで撮ったものを試しに。
こちらも顔のアップで比べるとわかりますが、画素数が足りなくて「ボヤケ」ている写真が、目の輪郭や頭の毛がシャキっとするくらいには解像度アップできていますね。
EOS-1D X mark IIIで撮ったカワセミの動体写真では概ね効果が高そうです。
Part.3 15mとまりもの
調子こいて、とまりものでどうかを検証。
こちらも解像度は確かに向上するのですが、EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMで同距離で撮った時と比べるとやはり厳しいですね。
結局のところ、
- スーパー解像度で画素数を増やしつつAIで補間、フィルタを強くかけられる下地ができる
- 画素数が増えたので強めにシャープネスやストラクチャをかけられる
という感じなので、初めから高解像で撮れたEOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMの写真には程遠いですね。
とにかく「画素数が足りなくてボヤケている写真」にかけるとかなり効果が高い感じです。
Part.4 12m動体
EOS-1D X mark III + EF600mm F4L IS II USMの12m撮影です。
クチバシの根本や頭の毛が解像してるのが見てとれます。
EOS-1D X mark IIIくらい画素数が少ないと、この距離でも十分に効果がありますね 😛
シャープネスを強くかけてるのでは?と思われるかもですが、画素数が足りないとそもそも強くかけることすらできないんですよね。
あと、動体の写真はどうしてもとまりものと比べると羽毛の1本1本までクッキリ…とはいかないことが多いので、そういう面からも動体写真には効果が高そうです。
まとめ
どうせあまり効果ないんじゃないかなぁ…と思って試したのですが、EOS-1D X mark IIIのように解像力が不足している写真では効果覿面でちょっとビビりました。
EXIFも残らなかったらいやだなぁと思ったんですけどちゃんと残っているのと、何より「RAWファイルの状態で解像度を向上させることができる」ので、そのままCaptureOneに突っ込んでRAW現像できるのが非常にGoodですね。
Photoshopは仕事上サブスクリプション契約しているので、費用面では全く問題なく 🙂
少し試してみてた感じPhotoshopでスーパー解像度を適用しても、それだけでは眠く感じます。
Photoshopではその後のシャープネス処理がノイジーでかつそんなに綺麗にシャープにならなくて「う~ん..いまいち」という感じだったんですが、DNGにしてCaptureOneに持っていくと満足できる結果が得られました。
スーパー解像度だけではシャッキリはしないものの、フィルタをかけられるだけの画素数を確保出来るようなイメージですね。
これは上で貼った写真ですがEOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USMで距離20~25mでの撮影です。
せっかく良いショットだったのに解像度がもうひとつだなぁ…と思っていたのが蘇りました。
私としてはこのくらいの解像度が得られるならば満足なので、まさかのスーパー解像度導入によってEOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USMでのカワセミ装備は完成してしまったかもしれませんw
感覚的には画像数が4倍になったからと言ってEOS-1D X mark IIIがEOS R7の解像度を得られるわけではなく、条件が合えば画素数約2倍のEOS R5くらいの解像感を得られるようなイメージ。
条件は「画素数不足によって解像度が足りてない場合」です。
被写体に対して画素数が足りてる場合は眠くなる方の弊害の方が大きくて逆効果な印象。
つまり、EOS-1D X mark IIIやEOS R3のように野鳥撮影では画素数が全く足りないボディで特に効果があります。
EOS R5で頑張って撮って何とか解像度向上させたいな…とか思ってましたが、不要になってしまったかも 😛
これまでも紹介している通り今の私のスキルではCanon装備の中ではEOS-1D X mark IIIはカワセミ撮影の性能は段違いなので、解像力さえ解決できるならもう私はこれ以上は必要なく。
今のところ問題点はスーパー解像度処理が重い処理なので現像時間がかかってしまう事くらいでしょうか。
まぁ、現像していて「これ画素数足りなくて解像してないな」というのはわかるので、そういう時に使う感じです。
あとこれ、EOS R7 + EF400mm F4 DO IS II USMで使うと最高かも。
画素数が不足するのを補ってくれそうですね。
ちょっと様子を見てEF400mm F4 DO IS II USMも買い戻しを考えようかと思い始めてます… 😛 無茶苦茶
どうにもこういったAIやミラーレスなどの技術革新の時期は、前提が覆されることが多いので装備調整が難しいですね。
EOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USMを残したのもカワセミ撮影については「解像度が低くても撮影チャンスを逃さない方を優先」した結果ではあるので、それがたまたまスーパー解像度で救われたという偶然ですし。
しかしながら、久々に今後の撮影に大きく影響が出そうな有意義な検証でした。
また、現状のRAW現像についてはどこかでしっかりまとめたいなと思います。